ベルギーの社会派監督フィリップ・ヴァン・レウが監督・脚本を務め、ベルリン国際映画祭で観客賞を受賞した映画『Insyriated(原題)』が、邦題を『シリアにて』として8月22日より東京・岩波ホールほかにて全国順次公開されることが決定。併せてポスタービジュアルと場面写真が解禁された。

 本作は、いまだ解決をみない戦地シリアの24時間を、舞台をアパートの一室に限定し、武器を一切持たない一般市民の女性の視点で捉えた緊迫のフィクションドラマ。

 3児の母であるオームは、自らが住むアパートの一室をシェルターにして、家族と隣人ハリマの一家を市街戦の脅威から守っている。一歩外に出ればスナイパーに狙われ、爆撃が建物を振動させ、さらに強盗が押し入ろうとする。果たしていつまで持ちこたえられるだろうか…。

 暴力を視覚化した衝撃描写であおる手法は避け、聴こえてくる音と住人の反応によって恐怖を伝える演出は、戦地に実際に立ち会っているかのような究極の臨場感を醸し出す。戦争や兵器の映像を出さずとも、住人の心理的描写のみで、血も凍るような緊迫したサスペンス性を獲得した本作は、現在進行形のシリアの悲劇を世界に伝える役割を果たし、第67回ベルリン国際映画祭で観客賞を受賞。その後も数々の映画祭を席巻し、18冠を獲得した。

 監督・脚本を務めるフィリップ・ヴァン・レウは、ルワンダ紛争での大量虐殺を描いた『The Day God Walked Away』(09)でデビュー。これに続く長編映画となる本作は、2012年に友人の父親が、シリア北部の都市アレッポの住居から3週間出られずにいたという話を聞いたことから、危機感を募らせ早急に映画化。脚本の信ぴょう性を増すため、シリア難民やシリア系の映画人による検証を重ね、現地の緊迫した家族の物語をリアルに描き出した。

 死と隣り合わせの日常におびえる家族を強く導く女性主人を演じるのは、イスラエル生まれのパレスチナ人として知られる女優ヒアム・アッバス。『シリアの花嫁』(04)、『ガザの美容室』(18) など多数のイスラエル、パレスチナにまつわる映画に出演しつつ、『ミュンヘン』(05)、『ブレードランナー 2049』(17)などのハリウッド映画まで世界的に活躍している。隣人ハリマ役は、『判決、ふたつの希望』(18)で父親に敵対する弁護士役を熱演したディアマンド・アブ・アブード。迫真の演技で、カイロ国際映画祭では主演女優賞を獲得した。

 映画『シリアにて』は8月22日より東京・岩波ホールほかにて全国順次公開。