女優の蒼井優が主演を務め、俳優の高橋一生と共演する黒沢清監督最新作『スパイの妻』より、恐ろしい国家機密を巡り疑心暗鬼が渦巻く90秒予告映像が完成したポスタービジュアルと共に公開された。

 本作は、戦争という時代のうねりに翻弄(ほんろう)されながらも自らの信念と愛を貫く女性の姿を描くラブ・サスペンス。ヒロインの福原聡子役を蒼井、その夫で神戸の貿易商・福原優作役を高橋、聡子の幼なじみで神戸憲兵分隊隊長・津森泰治役を東出昌大が、それぞれ演じる。

 NHK BS8Kにて6月6日に放送されたドラマ版からスクリーンサイズや色調を新たにした「劇場版」として公開される同作は、先日発表された第77回ヴェネチア国際映画祭のラインナップで、日本作品で唯一コンペティション部門に選出されている。

 1940年、神戸で貿易商を営む優作(高橋)は、赴いた満州で偶然恐ろしい国家機密を知り、正義のため、事の一部始終を世に知らしめようとする。妻の聡子(蒼井)は反逆者と疑われる夫を信じ、スパイの妻とののしられようとも、ただ愛する夫とともに生きることを心に誓う。太平洋戦争開戦間近の日本で、夫婦の運命は時代の荒波に飲まれていく。

 90秒予告は、「悪魔のような所業を僕は見た」という優作(高橋)のモノローグで幕を開ける。国家機密を知ってしまった夫の優作を信じる聡子(蒼井)だったが、やがて自らもその機密を追うことに。そこに現れる女の死体。憲兵の泰治(東出)が2人の動向に疑いの目を向け始める。そして、怪しげに画面に浮かび上がる「満州から連れ帰った女」「油紙に包まれたノート」「金庫にフィルム」の文字。正義、欺瞞、裏切り、信頼、嫉妬、幸福が入り交じる中、物語は展開していく。

 そしてついにスパイ疑惑で連行される優作。「誰が通報した?」という優作の問いに「あなたもよくご存じの方だ」とゆっくりと答える泰治。本作で初めて映画音楽を手がける長岡亮介の壮大な旋律が、映像をより一層盛り上げる。

 ポスタービジュアルには、純粋とも企みともとれる意味深な表情でこちらをじっと見つめる聡子、ドアの外に目をやり遠くを見つめる優作の謎めいた横顔、その2人の背後からこちらをにらみつける泰治の3人が写し出されている。「太平洋戦争前夜。愛と正義に賭けたふたりがたどり着くのは、幸福か、陰謀かー。」というコピーが添えられ、戦乱の波に翻弄された夫婦の行く末が気になるビジュアルとなっている。

 映画『スパイの妻』は10月16日より全国公開。