女優の蒼井優が主演を務め、黒沢清監督がメガホンをとった映画『スパイの妻』より、物語の謎をさらにひもとく新場面カット10点が解禁された。

 本作は、戦争という時代のうねりに翻弄(ほんろう)されながらも自らの信念と愛を貫く女性の姿を描くラブ・サスペンス。ヒロインの福原聡子役を蒼井、その夫で神戸の貿易商・福原優作役を高橋一生、聡子の幼なじみで神戸憲兵分隊隊長・津森泰治役を東出昌大が、それぞれ演じる。NHK BS8Kにて6月6日に放送されたドラマ版からスクリーンサイズや色調を新たにした「劇場版」として公開される。先日発表された第77回ヴェネチア国際映画祭のラインアップでは、日本作品で唯一コンペティション部門に選出されている。

 1940年、神戸で貿易商を営む優作(高橋)は、赴いた満州で偶然恐ろしい国家機密を知り、正義のため、事の一部始終を世に知らしめようとする。妻の聡子(蒼井)は反逆者と疑われる夫を信じ、スパイの妻とののしられようとも、ただ愛する夫とともに生きることを心に誓う。太平洋戦争開戦間近の日本で、夫婦の運命は時代の荒波に飲まれていく…。

 今回公開された場面写真は、油紙に包まれたノートを手に深刻な表情の聡子(蒼井)や、ほほ笑んで聡子の手を取る優作(高橋)のジェントルマンな姿、市電の車内で優作が聡子にある重大な提案をする場面、向かい合いじっとにらみ合う泰治(東出)と優作、連行される英国人と憲兵に詰め寄る優作のおい・文雄(坂東龍汰)の緊迫した表情、華やかなドレスに身を包んで倒れ込み、紳士に抱きかかえられる聡子の姿などの10点。

 登場人物たちのさまざまな表情がくみ取れ、物語の謎をひもとく重要な場面がそろっている。さらに、1940年代の神戸を舞台とする本作ならではの、クラシカルで上品な衣装や細部にまでこだわり抜かれた美術の数々も見どころだ。

 映画『スパイの妻』は10月16日より全国公開。