作家・吉本ばななの短編小説『ムーンライト・シャドウ』が、女優・小松菜奈の主演、マレーシアの映画監督エドモンド・ヨウのメガホンにより映画化され、今秋公開されることが決まった。

 原作小説は、ベストセラーとなった吉本の短編集『キッチン』所収の作品。突然訪れる恋人の死をなかなか受け入れることができない主人公・さつきを1人称視点で描いた作品となっており、1987年に吉本が大学の卒業制作として発表。日本大学芸術学部長賞、翌88年に泉鏡花文学賞も受賞した。吉本自身も「初めて他人に見せることを前提に書いた思い出深い小説」と語っており、ファンの間では初期の名作との呼び声も高い。

 メガホンを取ったエドモンド・ヨウ監督は、世界中の重要な国際映画祭で作品が上映され、2017年の東京国際映画祭では『アケラットーロヒンギャの祈り』で、東南アジア初となる最優秀監督賞を受賞している。

 主人公・さつきを演じるのは、本作が初の長編映画単独主演となる小松。原作者の吉本は「小松さんは、ものすごく旬でパワフルな方という印象でしたが、このお話の中にある“暗さ”のようなものも彼女の中に感じられるので、すごくぴったりだと思いました」と話す。

 エドモンド・ヨウ監督も、さつき役には小松以外考えられなかったと強調。「彼女なしでは『ムーンライト・シャドウ』の映画化は不可能でした。演技をするのではなく、小松さんはさつきになったのです。監督の私にとっては、このようなコラボレーションは本当に幸福で豊かな体験でした。シーンの一つ、ショットの一つを撮るたびに、期待に胸を膨らませて小松さんのお芝居を見守っていました」と明かしている。

 主演の小松は撮影を振り返り、「主人公のさつきは普通の子だからこそ難しい部分もありましたが模索していく中で、さつきと同じ感情になった瞬間は嘘がないような気がしました」と語る。また、「撮影中はエドモンド監督の描きたいシーンについて、みんなが監督を信頼しているからこそ、私たち役者の感情を大事にしていただき、スタッフさんのアイデアや意見も取り入れて、最終的に一つになるという現場でした。今回、監督とご一緒できて、また一つ私の新しい扉を開けていただいたと思います」と監督への感謝を述べた。

 映画『ムーンライト・シャドウ』は、今秋公開。