女優の宮沢りえが主演する舞台『泥人魚』が、12月6〜29日、東京・Bunkamuraシアターコクーンにて上演されることが決定。併せてビジュアルが解禁された。

 劇作家・唐十郎の傑作戯曲である本作は、2003年4月、「劇団 唐組」により初演され、読売文学賞戯曲・シナリオ賞、紀伊國屋演劇賞(個人賞)、鶴屋南北戯曲賞、読売演劇大賞優秀演出家賞を受賞。井上ひさし氏からは「独特の詩情と叙情とユーモア。すぐれた劇詩人で舞台の魔術師、唐十郎の集大成」と絶賛された。初演以来18年ぶりの上演となる。

 宮沢が唐作品に出演するのは、『下谷万年町物語』(2012)、『盲導犬』(2013)、『ビニールの城』(2016)に続き、本作が4作目。舞台出演は2019年の『死と乙女』以来約2年ぶりとなる。

 共演は、NHKの大河ドラマ『青天を衝け』の徳川家茂役でも話題となった磯村勇斗、元宝塚歌劇団月組トップ娘役で、本作で初のストレートプレイに挑む愛希れいかが共に、唐作品に初挑戦。また、風間杜夫が、初演で唐十郎が演じた役で出演する。さらに、岡田義徳、六平直政ら本作にふさわしいくせ者が結集した。

 演出を務めるのは、唐十郎と蜷川幸雄を師とし、アンダーグラウンド演劇に真正面から取り組んできた劇団・新宿梁山泊主宰の金守珍。2016年にシアターコクーン芸術監督・蜷川幸雄の遺志を継ぎ上演された追悼公演『ビニールの城』、2019年の『唐版 風の又三郎』に続き、シアターコクーン3作品目となる演出に挑む。

 港の町を去って、今は都会の片隅にあるブリキ店で暮らす蛍一(磯村)。店主の静雄(風間)はまだらボケで、日が落ちると急にダンディーな夜の詩人と化す。ある時店に現れたのは、詩人を「先生」と呼ぶ男、しらない二郎(岡田)。詩人静雄の元門下生であり、蛍一とは、長崎の諫早漁港で共に働いた仲だった。

 干拓事業の賛否に揺れる漁港では、湾を分断する「ギロチン堤防」が内側の調整池の水を腐らせて不漁が続き、池の埋め立てに反対だった仲間の漁師が次々と土建屋にくら替えしていく。そんな現実に絶望した蛍一は、港の町を去ったのだ。一方の二郎は、実は港に派遣された「さぐり屋」だった。依頼主は、月の裏側を熟知しているとのたまう女、月影小夜子(愛希)。

 二郎の裏切りを蛍一がなじっていると、蛍一を探して、やすみ(宮沢)という女が現れる。少女時代、ガンさんという漁師に海で助けられ、その養女となった娘だ。「ヒトか魚か分からぬコ」と呼ばれるやすみは、ある約束を果たしに来たと言う。「人の海の貯水池で、言ったとおりの人魚になれ」と。蛍一の前で見せた片方の足には、一条のきらめくものがはりついていて─。

 ビジュアルでは、宮沢や愛希、磯村、風間が、本作のキーワードとなる桜貝を散らせた空間でなまめかしいポーズをとり、深淵な美しさを表現している。

 宮沢は「唐十郎さんの世界は、私自身が一番深く呼吸できる場所。唐さんの言葉たちが自分の中を通って、口からポンと生まれる瞬間は理屈抜きの心地よさがあり、掃き溜めの中でも生き生きと生きる術を持っている唐作品のヒロインを、再び演じることが出来ることに大きな喜びを感じています」とコメントを寄せた。

 COCOON PRODUCTION 2021『泥人魚』は、12月6〜29日、東京・Bunkamuraシアターコクーンにて上演。