吉高由里子主演の『最愛』(TBS系/毎週金曜22時)で、主人公の真田梨央(吉高)の初恋の相手・宮崎大輝を演じている松下洸平。梨央に対する男気溢れるキャラクターを好演し、“大ちゃん沼”にハマる人が続出している。本作の終盤の撮影に挑む松下に話を聞くと、大輝を演じる上で抱いていた覚悟や、SNSで反響を呼んだシーンの裏話を明かしてくれた。

◆“大ちゃん沼”からのラブコールは「うれしい」

 本作は、殺人事件の重要参考人となった実業家の梨央と、梨央の初恋の相手で事件の真相を追う刑事・大輝、あらゆる手段で梨央を守ろうとする弁護士・加瀬賢一郎(井浦新)の3人を中心に描くラブサスペンス。梨央が15年前と現在に起きた2つの殺人事件に翻弄される様をオリジナルで描き、SNS上では考察が盛り上がっている。

 回を重ねるにつれ、“大ちゃん沼”という言葉をはじめSNSでは大輝に魅了される人が増えているが、松下は「自分でも想像していなかった反響をたくさん頂いて。ありがたいですね」と照れ顔を見せ、「どんな形であれ、視聴者の皆さんが役に没頭していただけることは俳優にとってはうれしいこと。僕たちはそこを目指して作ってはいないですが、結果的にそういうふうに思っていただけるのは非常にうれしいです。大輝や『最愛』というドラマ自体をすごく愛してもらえてるんだなと感じました」と感慨深い様子でコメント。

 6話では、大輝のためを思って「もう会わない」という梨央に、大声で「勝手に決めんな!」と言い放ち、梨央を追いかけて強く抱きしめるシーンも話題に。さまざまな角度で撮影するため「勝手に決めんな!」というセリフを20回くらい言ったそうで、「次の日がレコーディングで、喉がやばいなと思ったんですけど、あれで喉の筋肉がバカになっちゃって、次の日のレコーディングでめっちゃ声が出たんです。今後もレコーディング前は『勝手に決めんな!』を発声に取り入れたいと思います」と茶目っ気たっぷりの表情でエピソードを披露した。

◆大輝という役をこの世界のどこかにいる人間として感じてほしい

 『アンナチュラル』『MIU404』(共にTBS系)の新井順子プロデューサーと塚原あゆ子監督が再タッグを組んだ本作。松下は『MIU404』にゲスト出演していたこともあり、「この現場の素晴らしさと過酷さを知って、俳優にとってかけがえのない経験をさせてくれる組だと感じていたので、オファーを頂いてうれしいのと同時に、3ヵ月このチームでご一緒できる事は自分にとって確実に大きな一歩になると思いましたし、絶対に結果を出さないといけないという、自分にかけたプレッシャーや覚悟はこれまでの役より大きかったです。でもその覚悟を持って芝居をすれば、視聴者の皆さんは必ず楽しんで見てくれるという確信もありました」とオファーを受けた際に抱いた思いを告白。

 その覚悟について、「大輝という役をこの世界のどこかにいる人間として見てる人に感じてほしくて。そのリアリティをどこまで出せるかがチャレンジで、匂いとかまで伝わったらいいなと思っていました。大輝は捜査一課の刑事だったので、走り回っていてコートも思っている以上に臭いと思うんです。その汗臭さまで伝わればという思いで演じていたし、それをさせてくれるチームだったので覚悟して臨みました」と振り返る。

 また、クランクイン前は新井Pと塚原監督から「今まで見たことのない松下洸平を見せたい」と要望があったことについて触れ、「僕は今まで優しくて柔らかく、不器用で真っすぐな青年を演じることが多くて。大輝は普段使わないような言葉遣いもするので、僕自身はすごく楽しんで演じています」とも。ただ、「結局人となりは出ると思う」と口にし、「どれだけ無理して頑張って演じても、僕がやる以上は僕らしさみたいなのはどこかに必ず出てきてしまうもの。そこは無理に消そうとせず僕なりの大輝を演じ、その中で自分が出せない部分を塚原さんたちに引き出してもらいました。それが皆さんの心に少しでも響いたのであればうれしい」と明かした。

◆大輝は思った以上に不器用でかわいらしい人

 さらに、「人と関わることで役柄が広がっていくんだと身に染みて感じた」とも言い、「梨央や桑田(佐久間由衣)、山尾(津田健次郎)らと芝居をすることで、自分の中では想像できていなかった大輝の性格や細かい設定が見えてきて。芝居は一人ではできない、誰かと一緒に作っていくものだというのを『最愛』の現場で改めて痛感しています」と共演者や新井組に感謝。

 そういった過程を経て、クランクイン前に抱いていた大輝のイメージは変化したそうで、「僕が思った以上にすごく不器用な人でした。恋愛に対しては特にそうで、恥ずかしがり屋。行くときは行くのかなと思っていましたが、大事な瞬間はいつもモジモジしてしまうんです。かわいらしい人ですね」とニッコリ。そして、大輝役を「やらせてもらえて本当にうれしかったし、感謝しかない」と真摯な表情で口にし、「大輝という人間を愛してもらえましたが、僕自身も彼に負けない魅力がなければ続かない。大輝から学ぶことも多かったので、僕自身も面白がってもらえるように頑張りたい」と新たな覚悟を語った。

 これまで一番切なかったシーンを聞くと、4話の梨央と優(高橋文哉)が白川郷に向かう高速バスを桑田と車で追いかけるシーンをあげ、「山尾に容疑者が『優』だと報告するシーンはきつかったですね。もうこれ以上は隠していられないと。白川で同じ時間を過ごしていた9歳の優の声や笑った顔が一瞬でフラッシュバックして。その後も優を刑事の立場として東京に連れて行かないといけなくて、演じながらすごく苦しかったです」と打ち明ける。そういう経験も「俳優としては俳優冥利に尽きる。素晴らしい役を頂いたなと思いました」としみじみと語った。

◆『最愛』と『君に夢中』は1セット――宇多田ヒカルの主題歌に感謝

 宇多田ヒカルが歌う主題歌『君に夢中』が先日配信解禁になり、こちらも世間の注目を集めているが、同曲の存在も「すごく大きく、この歌に何度も助けられています」と言う松下。「『最愛』と『君に夢中』は絶対1セット。歌詞を見ていると、梨央や大輝、加瀬らメインで出てる登場人物みんなに当てはまるフレーズだなと思って。この歌から常にインスピレーションをもらっていますし、自分たちもどこでかかるのかって想像しながら撮るのも楽しくて。僕は俳優業だけではなくて、音楽やいろんなことをやらせてもらっていますが、脳みそが上手く切り替えられない時にこれを聞くだけで一気に体中が『最愛』モードになります。自分の中にめちゃくちゃ浸透していて、いいスイッチングをしてくれますね。主題歌が宇多田さんで本当に良かったです」と白い歯を見せる。

 クランクイン前と比べて一番距離が縮まった共演者を聞くと、初共演となった井浦を挙げ、「役柄的に距離がありますが、どういう方なのかお話を伺いたかったので、僕の方から率先して話かけさせて頂きました。今では事あるごとに連絡を頂いたり、インスタグラムでコメントのやりとりとかも楽しく遊んでくださっていて。新さんが大好きです」と笑顔で明かした。

 第7話では、刑事でありながら優や梨央に肩入れしたことにより、大輝は捜査一課から所轄へ異動になったが、今後の見どころを聞くと、「大輝は捜査を外されたことに対してショックではあるけれど、自分で自分のケツを拭く感じで、そんなに後悔してないと思うんです。8話では、大輝がこれから先、梨央とどう向き合っていくのか。梨央との人生をゆっくりと考える時間ができたので、普通の人間として彼がしっかりと生きていけるかが試されると思います」とコメント。事件の真相はもちろんだが、梨央と大輝の恋がどうなっていくのか、切ない恋の行方からも目が離せない。(取材・文:高山美穂)

 金曜ドラマ『最愛』は、TBS系にて毎週金曜22時放送。