ママのわがまま(ニーズ)に応える
安心安全なお菓子「ままがし」で起業


 にっこり笑うとパッと花が咲いたよう。明るさが身上という戸田さんは、現在小学3年と1年の男の子のシングルマザーだ。

 4人姉妹の3番目という戸田さんは、昔からお菓子作りが大好き。

 専門学校を卒業後は迷わずケーキ屋さんに就職。その後はカフェ、専門学校の製菓アシスタント、料理家のアシスタントを経験しながら、プライベートでも頼まれればお菓子を作るなど、お菓子作りから縁が切れたことはない。

 2010年に次男を出産後、恵比寿のカフェで働いたことが現在の活動に大きくつながることとなる。このカフェで戸田さんは、素材のもつ美味しさ、安心安全なものを選ぶ大切さを学ぶ。独身時代には、「質」よりも「安さ」にこだわっていたが、子どもができてからは「質」が大切であることを感じていた戸田さんにとって、このカフェで教えられたことはストンと腑に落ちるものだった。

「おいしくて、さらに体にいいものであればもっとうれしいですよね」

 多くを教えられたカフェだったが、残念ながら戸田さんが働き始めてから1年ほどで閉店となってしまった。その後は、ダイニングカフェ会社の系列店で働く。そこでパートタイムで働きながら、自分自身の活動として2012年「ままがし」をスタートした。

「ままがし」は、できるだけ安心安全な食材を使用して作る「ママのいろいろなわがままを叶えるおやつ」「ママが作るママと子どものための手作りおやつ」がコンセプトだ。


左:あまり野菜でつくるおやつ。
右:グルテンフリーのシュークリーム。

 短時間で作りたい。アレルギーがあってもおいしいお菓子を食べたい。乳製品や白砂糖は入れたくない。そんなママのわがまま(ニーズ)に応えながら、1日限定の焼き菓子出張販売、近所のママさん向けの単発レッスン、ニーズに合わせたケーキ作りなどで、多くのママたちの期待に応えてきた。

 会社での働き方は、パートタイムからフルタイムに変わっていたため、次第にフルタイムでの勤めと「ままがし」の活動との両立がむずかしくなり、2017年3月に退職。本格的に「ままがし」を普及させるためにフリーランスとなった。

 現在は、2017年8月からの「ままがし継続レッスン」を本格的に軌道に乗せるための準備に忙しい。今までの「ままがし」のコンセプトはしっかりと継承し、単発レッスンや販売のノウハウを活かし、集客、告知、体験レッスンのカリキュラムやテキスト、打ち合わせ、お菓子の試作などを繰り返す毎日だ。


子ども向け「ままがし」レッスン中。

「ままがし継続レッスン」は、単にお菓子作りを教えるだけではなく、食の安全や、美容や心の持ち方にまで話をすすめた総合的なレッスンにしていきたいと考えている。

 睡眠時間を削らざるを得ない多忙な日々ではあるが、フルタイムの仕事を辞めたことで家にいる時間は格段に増えた。結果的に、下の子が小学校に入るタイミングで働き方を変えたのはよかったと実感している。小1の変則的なスケジュールに、なんとか合わせることができるからだ。

 さて、現在シングルマザーの戸田さん。どうやって家事を回しているのだろうか。

小さい時からのお手伝いで
家事の即戦力を育てる

 今家族でハマっているのはビタントニオ製のスムージーブレンダー「Greenwiz」だ。スイッチを押すだけでまろやかなスムージーができるので、子どもでも簡単に操作ができる。付属部品を使えば、使用時の「ガー」という音をかなり軽減できるのも、ありがたい。朝ごはん、小腹のすいたときなど、手軽に栄養満点でおいしいスムージーを楽しんでいる。


腹持ちもよく、栄養満点のスムージー。さらに味噌汁とごはんで朝は元気にスタート。

 しかし、戸田さんの子どもたちのお手伝いは、スムージーブレンダーのボタンを押すだけにとどまらない。

 朝の味噌汁の用意、食器ならべ、自分の食器洗い、掃除、洗濯物をたたむことなどは小3・小1の子が自分でやるという。

 もちろん最初から難なくできたわけではない。

 戸田家の基本ルールは、「自分のことは自分でやる」。自分の食器は自分で洗うこと。自分の洗濯物は自分でたたむこと。

 食器洗いは、最初は「自分で自分の食器を洗うこと」を徹底。ちゃんと洗えていなくても叱らない。次第に慣れてきたら「ちょっと洗えていない部分があるよ」と伝える。

 朝の味噌汁は、出汁を取って具まで火を通しておくのはママ。味噌こし器を使って味噌を入れ、味見をして味を調えるのが2年生になったときから亘生くんの仕事となった。そのうちに、味噌汁を全部作れるようになった。

「最初、亘生が味噌を入れたときに、すごくおいしかったんです。それでほめたので、毎日やってくれるようになりました。お手伝いは、本人の自信にも結びつくし、チャレンジ精神も伸ばしてあげることができますね」と戸田さん。

 最初は包丁さばきもおぼつかなかった亘生くんだが、今では気が向くとお弁当をひとりで作ってしまうレベルだ。


左:真剣な表情でチャレンジ!
右:すごい! お弁当を自分で作っちゃいました。

 当たり前のことだけれども、案外子どもにお手伝いをさせるのはむずかしい。しかしやらせずにいては、ママの家事負担はいつまでたっても減ることはない。

 ママひとりで家事を抱え込まなくてすみ、あれこれコミュニケーションを図りながら家事がすすむお手伝いは、子どもがやりたがるタイミングを逃さないことと、叱らないことがコツのようだ。

 忙しくても、やりたいことを自分で進めている戸田さんは、とてもハツラツとしている。基本自転車で行けるところが行動範囲。自転車で移動中の頭の中は、将来のことや新しいレシピのことなど、楽しい夢でいっぱいだそう。

「行動だけが人生を変えると思っています」と、慌ただしくペダルを漕いで、渋谷の街へ消えていった。

文・撮影=HITOMINA