夏本番、ビールのおいしい季節の到来です。都内のビアガーデンもいいけれど、少し足をのばして、クラフトビールのブルワリーを訪れるワンデイトリップへでかけませんか。出来たてのフレッシュなビールを味わえるのはもちろん、ビールに合う料理を楽しめるレストランを併設している、この夏絶対訪れたい人気銘柄のブルワリー3軒をセレクト。夏の昼下がり、最高の乾杯! を求める旅へ、いざ。

Vol.01_COEDOビール(埼玉県・川越)

 第1回は、クラフトビールブームの火付け役で、日本はもとより世界の品評会で多数の受賞歴を持つ「COEDOビール」が登場。いち早く海外へ進出するなど、チャレンジ精神旺盛なブルワリーならではのユニークな取り組みに注目!

クラフトビールの未来を創る
COEDOがしかける、2つのブルワリー

 新宿から約1時間。副都心線の直通運転が開始されたことによりぐっと身近になった小江戸・川越は、城下町風情溢れる街並みで観光地としても人気のエリア。ここで誕生したのが、日本を代表するクラフトビールの銘柄のひとつである「COEDOビール」。


表情豊かなクラフトビールの多様性を表すべく、COEDOのビールは日本の色名を冠する。写真左より、「瑠璃 -Ruri-」「白 -Shiro-」「紅赤 -Beniaka-」に加え、「伽羅 -Kyara-」「漆黒 -Shikkoku-」「毬花 -Marihana-」の6種が定番の銘柄としてラインナップ。

 2006年のリブランディングから10周年を迎えた昨年の2016年、よりサステイナブルなビール作りを求めてブルワリーを移転。敷地内に掘った井戸から醸造用水を確保し、排水もブルワリーで浄化してから自然に返すなど、今まで以上に環境と一体となったビール作りに軸をおいている。

 残念ながら、一般向けの見学会が開かれるのは少し先のことになるそう。ビールの製造過程を知ることができるだけでなく、ビールの面白さや奥深さを楽しく学べて体験できる、ユニークなプログラムになるとのこと。今後にぜひ期待したい。


企業の研修所だった建物を敷地ごとブルワリーとして改修。レンガ造りのクラシックな建物とグリーンのコントラストが美しい。

 一方、ブルワリーの移転とほぼ同時期に、創業の地である埼玉県川越市に、タップルーム&レストランを併設したブルワリー「COEDO Craft Beer 1000 Labo(コエド クラフトビール・ワンサウザンド・ラボ)」をオープン。

「ラボ」をコンセプトにしたこちらでは、店内のタンクで作られる限定ビールを、地元食材を使ったモダンクラフトチャイニーズとともに味わえると話題だ。


外にはテラス席も。夏に外で飲むビールのおいしさといったら! サンセットタイムは人気なので、早めの予約がおすすめ。

 次ページより、ラボ×ブルワリー×レストランが提案する、ユニークでおいしいビール体験を紹介。

訪れた人だけ味わえる
ラボから誕生した“超限定ビール”

「COEDO Craft Beer 1000 Labo」は、ブルワリー、タップルーム、レストランを包括した、COEDOのクラフトビールをとことん楽しむための“複合ブルワリー”。

 施設内の奥に見えるのは、1000リットルのビールタンク。「ラボ」と銘打っているブルワリーらしく、このタンクで1000種類のビールを試作して提供するという、実験的かつユニークなチャレンジが行われている。

 色、香り、味わい、のど越し……。多様性に富んだクラフトビールを知り尽くしたブルワーたちの想像力が生み出すビールは、ときに大胆でときに繊細。季節をイメージしたものも多く、詩的だったりもする。ロットにすると約100本の“超限定”ビールは、毎回早い者勝ちなので急いで。


グラスは、M、Lのほか、ご覧のminiサイズを用意。少量ずつ好きな種類を飲み比べできる。mini 500円、M 1,000円、L 1,400円。

 取材時にオンリストされていたのがこちらの3種。

◆「梅雨セゾン -Tsuyu Saison-」 (写真左)
アメリカの「Stone Brewing」、ニュージーランドの「Garage Project」、そしてCOEDOと、3カ国のブルワリーのトリプルコラボより誕生した「梅雨セゾン -Tsuyu Saison-」。各国産のホップに加え埼玉産の青梅で作った梅酒を使い、ニュージーランドのシャルドネワインの醸造に使われていた木樽のなかでゆっくりと冷蔵熟成したもの。ビールの製造過程だけでは醸し出せない香りと味わい。

◆#009 「Red Ale」 (写真中)
宝石のガーネットを思わせる澄んだ赤銅色。カラメルモルトの甘く香ばしい香りと、柑橘系の香りのホップが織りなす、ふくよかで爽やかなアロマは夏にぴったり。キャンディを口のなかで転がすように、口に含みながら味わいたい大人のビール。

◆#008 「Slow Stout」 (写真右)
食後のデザート代わりにいただきたい、ビロードのようなしなやかさがある黒色のビール。マダガスカル産の香り高いバニラと、カカオニブによるチョコレートの香りが、ほろ苦い余韻を与えてくれる。文字通り、夏の夜にゆっくりと味わいたい。


ブルワリーはガラス張りのオープンスタイル。ここから数々の名作ビールが誕生する。


タップルームとレストランは同フロア。ビールを試飲しながら、レストランメニューをオーダーすることも可能。


定番6種のラインナップもブルワリーから直送、樽生のフレッシュなおいしさを最短・最速で味わえる。

 現在、“実験ビール”は10種まで登場。1000種までは長い道のりだが、「COEDOを世代を超えて愛されるクラフトビールのブランドにしたい」というもうひとつのチャレンジであり、クラフトビールの多様性を追い求める壮大な冒険でもある。今後きっと幻のビールがここから誕生する予感。足繁く通って、その目撃者となってみてはいかが。

 次ページでは、併設のモダンクラフトチャイニーズレストラン「香麦-xiang mai-(シャンマイ)」にフォーカス。クラフトビールと料理とのペアリングを紹介。

味覚を満足させ気分を高揚させる
ビール×中華の黄金ペアリング

 COEDOのクラフトビールに合わせた中華料理、その名も“クラフトチャイニーズ”を提供するのは、併設のレストラン「香麦-xiang mai-(シャンマイ)」。

 まずトライしたいのが、ビールに合わせて料理を提案してくれる「ビールペアリング」。今回は、爽やかなのど越しが夏らしい「COEDO 白」、薩摩芋を使ったCOEDOのシグネチャービール「COEDO 紅赤」に合う料理を考案してくれた。


COEDO 白×川越三元豚ヒレの黒酢の酢豚 1,200円(税抜)。

 「COEDO 白」と合わせたのは川越の三元豚。

 黒酢は、もち米ではなく小麦から作られたものを使用。ツンとせずまろやかな風味が、小麦のみで作られたビールの麦芽感とも好相性。付け合わせの野菜は川越産のものが中心。シェフ自らが仕入れた野菜は、クラフトビールの個性に負けない力強い味わいが特徴だ。


COEDO 紅赤×東松山 国分牧場のクラフトビーフ、広東風煮込み 1,380円(税抜)。

 赤みがかった琥珀色が美しい「COEDO 紅赤」は、上質の麦芽と川越の名産である薩摩芋から生まれた、COEDOのシグネチャービール。合わせるのは、COEDOビールの製造過程で出た麦芽のカスを食べて育った牛、「クラフトビーフ」。

 肉の表面を醤油でコーティングし一度揚げることで旨みを封じ込めた。醤油の香ばしさとオイスターソースの濃厚な風味が、紅赤の豊潤な味わいとよく合う。野菜は川越産のツルムラサキ。


もう一品。“シメ”として支持率ナンバーワンを誇る坦々麺も必食メニューのひとつ。そのほか、皮から手作りするという各種点心もビールによく合う。

 ビールに合わせて趣向を凝らした本格中華を創作するのは、KIHACHI China など名店で腕を揮ってきた、長瀬和雄(ながせかずお)シェフ。

 「醤(ジャン)を使う中華は、ビールの酵母や香りと好相性。中華料理は調理方法から味わいまで多種多様。クラフトビールの個性豊かな味わいごとにしっくりくる料理が、必ず見つかるのが面白いですね」。自らも“ビール党”という長瀬シェフ。ビールと中華のマッチングについて考えるのが楽しいのだそう。


手が空いていれば、シェフ自らビールを注いでくれる。

 今後は、ラボとタップルーム、レストランを備えたこの空間を使って、参加型のワークショップのほか、ビールをもっと身近に感じられるイベントや取り組みなどを計画しているとか。訪れるたびに新しいクラフトビール体験が待っている“ビールのラボ”を目指して、夏の昼下がりにでかけてみては。

●COEDO Craft Beer 1000 Labo(コエド クラフトビール・ワンサウザンド・ラボ)
●香麦-xiang mai-(シャンマイ)

所在地 埼玉県川越市福田59-1
電話番号 049-228-0800
営業時間 ランチ 11:00〜15:00/ディナー 17:00〜21:00、土日祝 11:00〜21:00
定休日 月曜
http://www.coedobrewery.com/jp/craftbeer1000labo/
※ビールペアリングは要予約

●COEDOクラフトビール醸造所
所在地 埼玉県東松山市大谷1352
電話番号 0493-39-2828
http://www.coedobrewery.com/

文=吉村セイラ,撮影=佐藤 亘