豊富な経験と知識を活かして、その道のプロが読者のお悩みに答えるこの企画。今回は、弁護士法人東海総合の久野先生にお聞きしました。

東海エリアに住んでいる人は、特に聞きなじみがあるであろう“名古屋走り”。今回はそんな運転マナーについて詳しく解説していただきます。

 

■お悩み:名古屋走りは法律的にセーフなの?

「名古屋市内に住む主婦です。普段買い物や通勤、送り迎えなどで車を使うことが多いのですが、たまに危ない運転をするドライバーがいて困っています。

“これが俗にいう『名古屋走り』なのかなあ”と思ったりもしますが、一般的によくいわれる名古屋走り“ウインカーを出さず車線変更をする”“右折道路に無理やり割り込む”などは法律違反ではないのでしょうか?

もし違反なのであれば、厳しく取り締まっていただきたいところです……」

 

■回答:「名古屋走り」は法律違反!

名古屋走りは法律違法です。私も名古屋で運転している時に何度か名古屋走りと出会いヒヤッとしたことがありましたが、まるで名古屋人が違反者ばかりみたいでとても不名誉なネーミングですよね。

名古屋走りとしてよく挙げられる2つの危険走行について、法の観点から詳しく解説します。

ウインカーを出さず車線変更をする

画像:KeepWatch/Shutterstock

ウインカー等によりの合図を出さずに車線変更することは道路交通法53条に違反し、5万円以下の罰金(同法120条)に当たります。

合図のない車線変更は事故の危険がとても高い運転です。合図を義務とすることで、後続車や歩行者などに車線変更することを前もって知らせ、事故を防止することを目的としています。

名古屋走りが原因で事故が起きたこともあります。

<ウインカーの合図をせずに左車線に進路変更した自動車が左後方を走っていたバイクと衝突。バイクを転倒させ運転者にケガをさせた事件です。この自動車の運転者は令和元年10月に名古屋地検に起訴されました>(毎日新聞令和元年10月24日朝刊)。

実はこの運転者、当初の地検の判断では不起訴扱いだったのですが、被害者が不起訴を不服とし、検察審査会に申し立てをしました。検察審査会とは、不起訴判断の妥当性についてくじで選ばれた国民が、審査するところです。ところが、名古屋地検は、審査の議決が出る前に一転して起訴しました。

この被害者のように名古屋走りでケガをさせておいて不起訴扱いになることに納得いかない気持ちはとてもわかりますよね。

右折道路に無理やり割り込む運転

画像:Flatpit / PIXTA(ピクスタ)

また、右折道路に無理やり割り込む運転が、急な車線変更の禁止に当たると判断される場合(同法26条の2)、同じく5万円以下の罰金に当たります(同法120条)。さらには、交差点内であれば追い越し禁止場所に当たり(同法30条)、3か月以下の懲役にもなりうる運転です(同法119条) 。

このように名古屋走りは他人を巻き込む事故になりかねないとても危険な運転です。

名古屋走りのせいで事故に巻き込まれ、会社に遅刻してしまったり、送り迎えの時に子供がケガをしてしまったりしたらどうしよう……と考えると、相談者のように厳しく取り締まってもらいたい気持ちになります。

最近では、相手の運転を威嚇する目的の危険な運転であるいわゆる“あおり運転”について厳罰化も議論されています。

自動車は走る凶器といわれることもあります。運転マナーを守らないことで事故が起こり多くの方を危険にさらし、時には生命、身体に害を及ぼすことにもなりかねません。皆様も運転マナーを守り気を付けて運転いただければと思います。

 

いかがですか? 今回は交通問題について解説していただきました。定められたルールを守ることで、安全で快適なドライブがしやすくなります。自分勝手でルールを違反した運転はくれぐれもやめましょうね。

【参考】
※ 「名古屋走り」不起訴から一転起訴−毎日新聞  令和元年10月24日朝刊

【画像】
※ プラナ、KeepWatch、Flatpit / PIXTA(ピクスタ)

※ この記事は、公開日時点の情報です。