あなごの漁獲量が一番多い都道府県はどこかご存知でしょうか?山陰日本海に面する島根県は令和元年には632トンを水揚げし、3年連続で日本一の漁獲量を誇っています。

島根県の中央部に位置する大田市は、県内の水揚げの半分近くを占め、現在、おおだ一日漁推進協同組合(事務局:大田商工会議所)を中心に、大田市産あなごのブランド化に向けた取組みが進んでいます。

 そんな大田市で水揚げされるあなごの特徴は、なんといっても全長1m近くの個体もしばしば現れる巨大さ。そして太さは女性の手首ほど。まさに「大田の大あなご」と銘打って、取り組みが進められています。

実は「大田の大あなご」はマアナゴという、実は一度は食べたことのある、“あのあなご”です。寿司屋の1本握りでおなじみの細あなごはおよそ35cm以下のものでメソあなごといわれています。

海の肉!大田の大あなごの味と食感

細あなごと比べると、大田の大あなごはうま味の余韻がうま味の余韻が非常に長いことがわかっています(図1)。そしてうま味物質のイノシン酸が多く、例えるなら牛肉以上、鶏肉レベル!さらにグルタミン酸を補うことで、よりそのうま味を楽しめます(図2)。

図1 味覚センサTS-5000Zによるうま味の後味測定

図2 うま味成分の定量分析結果

プリプリの食感!?

大田の大あなごのほろほろ食感は、なんと関西風のうなぎに近いことがわかります。この肉厚の食感は蒸し処理をすると柔らかくなり関東風の食感にも近づきます。

また、歯ごたえが特徴になっていますが、天ぷらなどにするとそのプリプリの食感が楽しめることでしょう。

図3 食感分析装置テンシプレッサーによる分析結果

その肉厚の白身の存在感を存分に味わうにはやはりシンプルに白焼きが王道。ぜひとも島根の酒とともに。グルタミン酸やアスパラギン酸が多い日本酒はあなごと一緒に食べることで、うま味がふわっと(うま味の相乗効果)口内で開くことでしょう。また、グルタミン酸の豊富な醤油やみりん等による定番の蒲焼きや煮付けにされるのも納得です。

道の駅ロード銀山のあなご寿司

大あなごの栄養と美肌

美肌県の代名詞とも言われる島根県。その秘密は海風の湿度や日照条件のなどの風土に加え、多く点在する温泉、そして大あなごもその美肌を育んでいるかもしれません。

管理栄養士によれば、美容に効果的な栄養素として代表的なものはタンパク質、オメガ3脂肪酸、ビタミン類があります。あなごと似ている鰻の栄養価を比較してみると、タンパク質はウナギより豊富です。脂質はウナギの半分以下でカロリーはウナギより4割ほど低くなっています。(表1)

また大あなごはDHAやEPAなどの良質な油を含み、これらは血行促進により肌の新陳代謝アップ、キメの整った肌への効果があるとされます。また、タンパク質も同様に豊富に含まれています。肌や髪など、人間の身体の組織に必要不可欠なたんぱく質は、美しくなるために積極的に取り入れたい栄養素です。魚介類の中では比較的多い「ビタミンA(レチノール)」には粘膜や肌の健康を保つ作用、ビタミンEにはアンチエイジングに重要な抗酸化作用があります。

魚食は非常に健康に良いとされていますが、毎日では飽きてしまうのも事実です。一般的な魚やうなぎに代わるヘルシーな選択肢として大あなごを取り入れてみてはいかがでしょうか。

表1.一般栄養成分

図4.大あなごの特徴的な栄養成分

(くろまぐろ生・まだら生は日本食品標準成分表2020年版(八訂)より引用)

豊かな海が育てた大あなごは鮮度抜群

大田市伝統漁法一日漁もあなごのおいしさをサポートしています。早朝に出漁した船はその日のうちに水揚げし、翌朝にはそのまま加工所や各地に配送され、あなごの鮮度を守ります。

大田市のアナゴの一夜干しはその身の白さが特徴ですが、鮮度が悪くなると、捌いたときの身が内臓の色移りで黄色くなったり、うま味の減少(イノシン酸の減少)や臭みが現れてしまいます。

大あなごの一夜干し:天女の羽衣(岡富商店)

ブランド化を始める3年前には数軒だった市内のあなご料理提供店が、今では30軒近くまで増えています。お店の中には、県外からあなご目当てに来訪者があるほどです。また、一夜干しなどの加工品も開発・販売され人気となっています。

金子旅館の穴子御膳

ぜひ、大ぶりで脂ののった、美味しい「大田の大あなご」を食べに、大田市を訪れてみてください。

※島根県大田市は島根県の中央部に位置し、世界遺産「石見銀山」や国立公園「三瓶山」などを有する、歴史と自然に恵まれ、美味しいものがたくさんあるまちです。