レストランでお客が席に着き、まず目にするのがお店のコンセプトを表現する〝テーブルセッティング〞。おもてなしの心を形にした、料理につながる最初のプレゼンテーションです。変化の激しいレストラン業界では、そのトレンドも刻々と進化。
ガストロノミーの発信地として注目される北欧から、最新テーブル事情をお届けします。

Mathias Dahlgren Matbaren
マティアス ダールグレーン マートバーレン

STOCKHOLM SWEDEN

合理性のなかにお客をわくわくさせる演出をしのばせる

テーブルセッティングにおいても、ノルディック・キュイジーヌの注目度が高まっています。ミニマリズムとナチュラリズムが貫かれた北欧独自の最新テーブル観を現地取材しました。

「機能的でシンプルであること」がテーブルセッティングにおける同店のモットーだ。椅子に柵のような飾りが付いているなど、店内のインテリアは型にはまらない、お客をわくわくさせるデザインを施しながらも、テーブル上はシンプルにトレイにカトラリーだけがセットされている。お客が当たり前に、心地よく安心して食事することができる「機能性」を何よりも重要視しているのだ。 

しかし、ミニマムなテーブルセッティングながら、北欧の自然志向の象徴とされている「木」や「石」をトレイやカトラリー置きに使用するなど、お客を和ませるような演出はここでもさりげなくなされている。

オーナーシェフのマティアス・ダールグレーン氏は、旅先での体験などから、テーブルセッティングのアイデアを得ることが多いのだという。

Relæ
レレ

COPENHAGEN DENMARK

(c)Mia-Maria Petersen

効率性、ピュア、シンプルを徹底して理想のガストロノミーを

「ガストロノミーをリーズナブルに提供したい。そのために、店づくりのすべてにおいて効率性を重視し、人件費などを節約しました」とはオーナーソムリエのロッセン氏。オーナーシェフのプリージ氏とともに、テーブルセッティングは豪華さや贅沢さをそぎ落とした〝ピュア&シンプル〞が信条だ。クロスなどの高価なアイテムは省略。テーブルの上には水用グラスのみセッティングしてある。ワイン グラスなどは、お客の注文に合わせてその都度置くシステムだ。

テーブルセッティングのアイデアは、祖父母の家の記憶など、自らの過去の体験から得ている。グラスやカトラリーは特別なブランドやデコラティブなものではなく、シンプルなものを。ただしお皿は、同店と同じ通りに店がある、最近人気の「Julie Bonde Bülck」という作家ものを使用している。

Gastrologik
ガストロロジーク

STOCKHOLM SWEDEN

皮、ガラス、銅… 〝地産地消〞のコンセプトをテーブルにも表現

同店の料理のコンセプト「地産地消」をインテリアや店舗の建築にも反映。テーブルセッティングのアイテムをはじめ、ワインリストやソファもスウェーデン産の皮革製品を使用している。ランプなどのインテリアで随所に見られる銅もスウェーデンの重要資源のひとつ。また、ガラス製品も同国を代表するアートクラフトだ。

料理を基本にして、自分たちが欲しいアイテムのイメージを表現し、作家や建築家、デザイナーと話し合ったうえで一緒に作り上げていく。もちろんコストはかかるが、料理と同じでいいものを作るには妥協はしない。また料理とセッティングを含めた全体のバランスもつねに考えているという。デザート時には同じカトラリーブランドの色違いをセッティング。食事シーンの第2部が始まるというアクションを、テーブルセッティングを通してお客にも意識してもらおうという演出だ。

神咲子=文 机宏典=写真 

本記事は雑誌料理王国2012年9月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2012年9月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。