アワドリと白レバーのテリーヌフルーツのチャツネ添え
徳島産地鶏のもも肉がベース。中央に詰めた白レバーが存在感を主張する。フルーツのチャツネはイチゴやマンゴーなど季節で変わる。

料理人の矜持でビストロの三ツ星をめざす

店をオープンするなら、銀座か表参道あたりで。名店で研鑽を積んだ和田倫行さんは、そう考えていたという。「こだわりの料理を低価格で出したいし、ワインも店でちゃんと管理したい。実際に物件を探してみると、そんな自分の理想と折り合いがつくものはあまりなかったんです」。その中で浮上したのが、実家のある八丁堀。改めて周囲を見まわしてみると、そこは東京駅に近く、交通の便がよい場所。人口が多いわりに、これぞというレストランはさほど見あたらない。「店に特徴さえあればお客さまは必ず来てくれるはず」と、両親が営む入船屋酒店を改装して独立することにした。

 和田さんの考える特徴とは、本格的なビストロを志向すること。そこには近年ビストロ自体は増えているものの、定食屋レベルの料理が多いとの思いがある。だから、午前中から仕込みを始めるし、フォンもソースも星付きレストランと同じように手間ひまかけて作る。あくまでも料理で勝負しつつ、価格は抑えてサービスもカジュアルに。ビストロだから料理のグレードを下げるという発想は、まるで見られない。「めざすところはビストロ界の三ツ星」と和田さん。夜な夜なお客を魅了してやまない料理には、その心意気がたっぷりと詰まっている。

私がこのエリアを選んだ理由

① 実家なので土地勘があり、ワインを管理するスペースにも恵まれていた

② 東京駅や銀座にも近く、徒歩5分以内で複数の地下鉄を利用できる利便性

③ 銀座のようにレストランが飽和状態ではない環境に魅力を感じたため

「フランス産ほろほろ鳥もも肉 エビ詰めロースト ノイリーの香りのソ ース」。もも肉の中から、エビよりも大きなフォアグラが登場。

和田倫行さん
1971年東京都八丁堀生まれ。都内フランス料理店で修業後、スイスへ。帰国後、六本木「ヂーノ」、ストリングスホテル「ザ・ダイニング」副料理長などを経て2010年に独立。

本記事は雑誌料理王国2012年8月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は 2012年8月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。