名だたるイタリア料理はエミリア・ロマーニャ州で生まれた

イタリア北東部に位置するエミリア・ロマーニャ州。歴史上つねに重要な役割を担ってきたイタリアの中心地だ。経済的に豊かな同州は、食文化の面でも非常に充実している。とくに有名なのは卵を使った手打ちパスタ。タリアテッレ、ラザニア、トルテッリなどは日本でもおなじみだ。またチーズや肉加工品も充実。パルミジャーノ・レッジャーノ、サラミ、プロシュットなど、イタリアンと聞いて日本人が想像する多くの食品はこのエミリア・ロマーニャ州が発信源だ。

フダンソウを使ったパイ、エルバッツォーネも、そんなエミリア・ロマーニャ州の郷土料理のひとつ。フダンソウはイタリアではビエトラと呼ばれ、古代ローマ時代から食されていたという歴史ある野菜だ。このエルバッツォーネを味わえるのが「ダディーニ」。西麻布の「ヴィーノ デッラ パーチェ」、恵比寿の「ダディーノ」でシェフを務めた沼尻芳彦さんが2014年にオープンさせたトラットリアである。

フダンソウを使った伝統のパイ 濃厚な味わいと食感を楽しむ

「ダディーニ」のエルバッツォーネは、フダンソウのほかにパンチェッタ、ニンニク、タマネギなどを使用。フダンソウの代わりにホウレン草を使うこともあるという。具材をみじん切りにして混ぜ合わせたら、パルミジャーノ・レッジャーノと卵黄で味を整えオーブンで焼く。「そもそもはエミリア・ロマーニャの家庭料理ですから」

沼尻さんがそう言うように、決して難しい料理ではないが、やはり「ダディーニ」のエルバッツォーネは格別だ。サクッとしたパイ生地の食感と、パンチェッタの塩気、フダンソウの香りがすばらしいハーモニーを奏でている。ボリューム感もあり、大満足のひと皿だ。

沼尻さんがエミリア・ロマーニャ州に渡ったのは18年前。知人のつてで3店舗ほどの店をまわり、修業を重ねた。カステル・グエルフォ・ディ・ボローニャという小さな町で本場のイタリアンにふれた沼尻さんは、当時の日本ではまだ珍しかった手打ちパスタや、伝統料理をベースにした革新的な料理クチーナ・クレアティーヴァに衝撃を受けたという。「日本に戻って16年になりますが、今でもときどきイタリアに行きます。食べ物のおいしさはやはり変わりませんね」

豊かな食文化に恵まれたエミリア・ロマーニャ州で受け継がれてきたそのままの味が、ここ日本で味わえる幸せを噛み締めたい。

昔ながらの商店街の中にありながら、一歩足を踏み入れるとウッド調にまとめられた落ち着きある雰囲気の店内。店の壁には沼尻さんが集めた絵画や絵皿、ワイン、また知人から借りているというエミリア・ロマーニャ州の地図などが並ぶ。

【レシピ】エルバッツォーネ

フダンソウ、パンチェッタ、パルミジャーノ・レッジャーノを使ったやさしい味わいのパイ。フダンソウの香りとパンチェッタの塩気、チーズのコクが最高にマッチ。

作り方

①小麦粉とラード、塩少々を水で練ってパイ生地を作る。

②フダンソウをゆで、水にさらした後、よく絞ってみじん切りに。パンチェッタ、ニンニク、タマネギを炒めてフダンソウと合わせたら、パルミジャーノ・レッジャーノと卵黄で味を整える。

③パイ生地を型にのばし、中身を詰めて40〜50分間オーブンで焼き上げる。

Yoshihiko Numajiri
日本のイタリア料理店で働いた後、エミリア・ロマーニャ州へ渡り、パスタ名人ブルーノ・バルビエーリのもとで経験を積む。帰国後、西麻布の「ヴィーノ デッラ パーチェ」、恵比寿の「ダディーノ」でシェフを務め、2014年にオーナーシェフとして、白山に「ダディーニ」をオープンした。

ダディーニ
Dadini

東京都文京区白山5-2-7
フォーエムビル1F
☎03-6801-5022
● 11:45〜13:30 LO(火〜土)
18:00〜21:30 LO
● 日、月昼休
●コース 昼1500円〜(火〜金)
     2500円〜(土祝)
夜 平均予算 5000円〜
●16席

山田井ユウキ=取材、文 林 輝彦=撮影

本記事は雑誌料理王国262号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は262号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。