東京・神楽坂
神楽坂ラ・トゥーエル◉山本聖司さん

スパイスをまとった鰹とライチョウ
絶妙な組み合わせで個性を主張

ディナーコース 15000円のメイン

スコットランド産雷鳥と鰹のコンポジション
バドゥーバン・マサラの香り

真空調理したライチョウの胸肉と燻製した鰹。驚くほど似ている食感に新たなジビエの流れを感じるひと品。赤ワインベースのフォンに明日葉とリンゴのピュレを添えて。

山本聖司さんが挑戦したのは、ライチョウと鰹という意表をついた組み合わせ。「シカとカキはフランス料理の古い文献にも残るレシピと聞いたことがあります。ですので、ライチョウと鰹という組み合わせにもとまどいはありませんでした。ジビエはどの店も似たようなものになってしまうので、個性を出したかった」。

ライチョウのムネ肉に入り込むスジは少し硬いので、完全に取り除くことで鰹との食感を揃える。鰹は軽く燻製してからインドの香辛料「バドゥーバン・マサラ」をつけると、血合いのような香りが広がり赤身肉と相性がよくなる。山本マジックにかかれば、異なるふたつの食材が不思議なくらい口の中で調和するのだ。ライチョウのガラで作ったソースに、明日葉とリンゴのピュレを添えたのは、軽やかに味わって欲しいから。「ジビエは、この季節だけの自然からの贈り物。伝統的な手法をベースにどう作り変えるか。時には変化球で勝負するのもおもしろいですよ」

「ライチョウの下処理」ここがポイント

ライチョウの胸肉は、すべてのスジをきれいに取り除く。これにより、フィレ肉のように全体が均一になり、鰹と合わせても違和感のない、やわらかい食感に仕上がる。

Seiji Yamamoto

1975年福岡県生まれ。’98年名古屋外国語大学フランス語学科卒業。銀座「レカン」西麻布「ザ・ジョージアンクラブ」を経て、都内フランス料理店のシェフとして活躍。2012年「神楽坂ラ・トゥーエル」の料理長に就任。

神楽坂ラ・トゥーエル
Kagurazaka LA TOURELLE
東京都新宿区神楽坂6-8
☎03-3267-2120
● 11:30〜14:00(13:00LO)18:00〜22:30(20:00LO)
● 月、第3火休
● 昼平日3000円〜、土日祝4000円〜 夜7350円〜(サービス料別)
● 20席
www.tourelle.jp
※税込価格

小林 薫=取材、文 伏木 博=撮影

東京・渋谷
ビストロ ホリテツ◉堀岡徹也さん

ビストロならではの満足感
カモを丸ごと堪能する

アラカルトで10000円 (2〜4人前)

旭川産青首鴨のロースト
サルミソースたっぷりの自然農法野菜とともに

ムネ、モモ、砂肝、手羽元、手羽先。部位ごとに丁寧に調理された肉がひと皿に盛りつけられる。ジビエを存分に食べたい、という欲求が満たされる料理だ。サルミソースは濃厚な味わい。

「この店はグランメゾンではなくビストロですから」。気軽にジビエを楽しんでいただきたいとシェフの堀岡さんは語る。とはいえ、ジビエに対するシェフのこだわりは強い。

素材は、信頼を寄せる北海道旭川のハンターから。カモを背面から仕留める技をもち、ムネに損傷のないカモを入手できるからだ。カモが店に届くと、すぐに内臓を抜く。レバーとハツはコニャックでマリネし、ソースに。砂肝とモモ肉はカモの脂でじっくりとコンフィする。ムネ肉は手羽元がついた「バトー」の状態で火入れ。熱したフライパンにのせた後オーブンに入れ、ある程度火が通ったらガス台の上で約60度を保って休ませ余熱をいきわたらせる。

シェフが自ら収穫する自然農法の野菜をたっぷり添えて、ひと皿に。「大勢で来て、シェアするお客様も多いんです」と堀岡さん。ボリュームあふれるひと皿には、仕入れからこだわるシェフの、ジビエ料理への情熱が込められている。

「青首鴨のロースト」のここがポイント

視覚や触覚を駆使して火入れを確認。その感覚は「経験を積まないと得られない」と堀岡さん。ムネ肉はオーブンから出した後ガス台の上で休ませ、じんわりと熱を伝える。

Tetsuya Horioka

1975年東京生まれ。東京ドームホテル、シャングリ・ラ ホテル東京勤務後、現高輪プリンセスガルテンのシェフに。フランス、ノール=パ・ド・カレー地方での修業を経て、2013年5月ビストロホリテツをオープンした。

ビストロ ホリテツ
Bistro Horitetsu
東京都渋谷区宇田川町42-15 
中島ビルB1
☎03-6427-0200
● 11:30〜14:00LO 18:00〜22:30LO
●日 休
● 昼1000円〜 夜コース5700円〜 アラカルト中心
● 29席
※税込価格

料理王国=取材、文 富貴塚悠太=撮影

東京・白金台
ルカンケ◉古屋壮一さん

ライチョウのムネ肉と
パテにキャベツを巻いて一体化する

アラカルトで4800円

雷鳥とキャベツ
店内の冷蔵庫で2週間熟成したライチョウを使用。胸肉にモモ肉や内臓などで作ったパテ、キャベツ、網脂を巻いてアロゼしながら焼いた。シュークルートやベーコン風味の泡をアクセントに。

年内は山バト、エゾシカ、ベキャスに加え国産のカモ類。1月からは野ウサギ、高麗キジ、クマなど、多彩なジビエでファンの心をつかむ「ルカンケ」。古屋壮一シェフは、シーズンが短いのでリピートする人も多いライチョウと好相性のキャベツで、自慢のひと品を披露した。「皮に苦味があって香りも強いライチョウは、そのままよりも香りを旨味に変える工夫が必要。パサつきやすいムネ肉に旨味が強いモモ肉や内臓で作ったパテを巻き、さらにキャベツで包むことで一体感を大事にしました」。

火入れのポイントは、バターの泡をキープしながらアロゼ、かけたら休ませる、を繰り返しながらじっくりと焼くこと。中心がぬるいくらいの温度になったら火から下ろし、あとは余熱でしっとりと仕上げる。こってり過ぎず、あっさり過ぎないサルミソース、シュークルートなどを添え、野生の肉を取り囲む大地を表現した皿も楽しい。

「雷鳥とキャベツ」ここがポイント

ライチョウの胸肉はパサつきやすいので、しっとりと仕上げるため、バターの泡を110℃くらいでキープしながらアロゼ。少しかけたら休ませる、を繰り返し20分焼く。

Souichi Furuya

1975年東京都生まれ。新宿「京王プラザホテル」広尾「アラジン」などを経て26歳で渡仏。パリ「ル・クロ・ド・グルメ」「ルカ・カルトン」などで修業。帰国後、「ビストロ・ド・ラ・シテ」のシェフを務め、2009年独立。

ルカンケ
RE QUINQUER
東京都港区白金台5-17-11
☎03-5422-8099
● 11:30〜15:00(13:30LO)
18:00〜23:00(21:30LO)
●月休(祝日の場合は火休)
● 昼3000円〜、夜5000円〜アラカルトあり
●22席
http://requinquer.jp

小林 薫=取材、文 伏木 博=撮影

東京・目白
ブラッスリー ラ・ムジカ◉梶村良仁さん

ブーダンノワールと和栗で
エゾシカにコクと香りを与える

ディナーコース3800円(+1000円)のメイン

蝦夷鹿、ブーダンノワール、赤ワイン、和栗、紅玉
ロティしたエゾシカをブーダンノワールと和栗の裏ごしを加えたコクのある赤ワインソースで仕上げた。酸味と甘味を凝縮した紅玉リンゴのチップを添えて。

「去年まではブーダンノワールと和栗の組み合わせでしたが、今年は紅玉のチップも添えて、さらに味わい深く仕上げました」と梶村良仁さん。10日間ほど熟成したエゾシカは、赤ワインと香味野菜でマリネしてシンプルにロティ。昔は臭みを消すためにマリネしたが、今はきちんと処理したものが多いので、味に深みを与えることが目的だ。

梶村さんは、そのマリナードに裏ごししたブーダンノワールと和栗を加え、エゾシカの赤身肉に合うコクのあるソースに仕立ててみせた。「しっかりした赤ワインにも合うし、紅玉のチップをくずしながら食べれば、ソースとからんで爽やかな風味が広がります」。

ジビエの醍醐味は、熟成によって素材感をよりはっきり伝えられること、と梶村さん。狩猟した時の状態や個体差を判断し、食べ頃や熟成を見極めてこそジビエは活かされる。それは自ら狩猟を経験することで得た、梶村さんならではの答えである。

「蝦夷鹿のロティ」ここがポイント

脂の少ないエゾシカは、赤ワインと香味野菜でひと晩マリネすることで、深みと香りをプラス。マリナードにブーダンノワールと和栗の裏ごしを入れ、ソースを完成させる。

Yoshihito Kajimura

1976年茨城県生まれ。都内のグランメゾンで修行後、1989年渡仏。コート・ダジュール「オーベルジュ・カント・グリーユ」などで1年間研鑽を積む。帰国後、「東京會舘ユニオンクラブ」を経て2008年独立。

ブラッスリー ラ・ムジカ
Brasserie La·mujica
東京都豊島区目白3-14-21
☎03-3565-3337
● 11:30〜14:00LO 18:00〜21:30LO
●月休(祝日の場合は翌日)
● 昼1600円、夜3800円 アラカルトもあり
●40席
http://lamujica.com
※税込価格

小林 薫=取材、文 伏木 博=撮影

本記事は雑誌料理王国244号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は244号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。