少し時間が経ってしまいましたが、すてきな『クルマ旅』に行ってきました。題して『Targa NAOSHIMA』。

イベントタイトルの由来は、公道レース『タルガ・フローリオ』から。レース会場となるイタリアの風光明媚なシチリア島に、瀬戸内海に浮かぶ自然とアートの島『直島』のイメージを重ねた、クルマ好きらしいチャーミングなタイトルです。

筆者の心のなかで、カレントライフのライターである中込健太郎さんの記事『クルマのイベントの理想型はクルマがメインではない』と、このイベントの主催者・那須啓文さんの言葉が結びつきました。

「今回のようにまったくバラバラな趣向のクルマで集まって走っても、 そこには 不思議と “共通語”なるものがあるのだと、あらためて感じました(那須さん)」

さまざまな年齢・ライフスタイルのオーナーたちが垣根を越えて感動や楽しさを共有しながら“クルマが好きってすてきなこと”をしみじみと感じられるイベントはまさに『理想型』。ぜひ記事でみなさんにお伝えしたいと思い、今回筆をとった次第です。


Photography(c)Daisuke Aochi
タイトル画像提供 / ブルーワークスPHOTO&DESIGN Office

主催者、那須さんの想いとは


▲娘さんの誕生を機に“競技の育児休暇”としてミーティング参加やロングドライブを楽しんでいるそうです

Targa NAOSHIMAを企画した那須啓文さん。那須さんは、もともとクラシックカーでレースに取り組んでいましたが、娘さんの誕生と同時に“競技の育児休業”という名目でレース活動を一時休むことに。それからは、ミーティングやツーリング趣向のラリーなどを楽しんできました。さまざまな車種のオーナーとの交流も深まったことから、仲間どうしで今回のような『クルマで小旅行』を楽しむようになったそうです。

「クルマを走らせる“愉しみ”の優先順が、自分のなかで“どれだけ勝てるか”から“どう遊べるか”重視に変わったとき、旧いクルマを愛するさまざまなスタイルを持つ人たちとの交流がさらに広がりました。趣向のなんとも多様なことに、驚かされることしきりなのです。“競技の育児休業”の間に出会った多くのかけがえのない紳士淑女のみなさんとは、いつまでも末永く遊んでもらいたい……そんな思いでこんな“ワルい洒落”のノリでネーミングした呆れた企画を次々とやっている、今日この頃です(笑) 」

今回の企画は、那須さんのクルマ仲間の先輩が放った「とにかくクルマで旅がしたい!」のひと言がきっかけ。旅のキャッチフレーズは『たまには“芸術家気取り”でアートに親しんでみよう』。クルマ好きで芸術の魅力を共有し、非日常を楽しんでみようというコンセプトです。


▲那須さんがデザインしたTarga NAOSHIMAのエンブレム。ワッペンにしたいほどチャーミングです

個性豊かな8台が集まりました

参加したクルマたちは

・トライアンフ スピットファイア
・バーキン セヴン
・トヨタ MR2(AW11)
・スズキ ジムニー SJ30
・フォルクスワーゲン ビートル
・ニッサン サニー1200(B110)
・アルファロメオ75
・ホンダ S2000(AP1)

の8台。

クラシックカーが中心ですが、ジャンルはさまざま。共通していることはオーナーに溺愛されていることのみ!参加の8台をご紹介していきましょう。

■トライアンフ スピットファイア(1974年製)

「以前のように、サーキットで競うという観点だけでは絶対に選択しないクルマでした。ずっと傍らに置いておき、時々走らせたいという衝動が途絶えないのは、やはり他に似ない固有の存在感を放っているからでしょう。旧き佳き時代を匂わせる構成要素をギュッと凝縮してくれている、とても魅力的なヤツです」

那須啓文さんのトライアンフ スピットファイアは、那須さんが“競技の育児休業”に入ってから手に入れたクルマで、非常に可愛がっている1台。愛車への熱い想いがほとばしります。

「きわめてコンパクトなサイズながらも『ロングノーズ・ショートデッキ・ロングオーバーハング』という古典的プロポーションで魅せることを筆頭に、古典的デザインの定番である『ウエストのくびれ』も大袈裟でなく、程良い加減が魅力です。マスクごと大きくチルトで開閉するエンジンフードは高揚感を演出してくれますし、予想よりもはるかに低いドライビングポジションは、原始的な運動性能をカバーして“愉しい”運転感覚を与えてくれるに余りあるのです」

■アルファロメオ 75(1991年製)

森山直也さんの愛車は、アルファロメオ 75。アルファロメオ創立75周年に登場、トランスアクスルを採用したモデルです。森山さん曰く、トランスアクスルや排気音など、75ならではの特長が魅力的だそう。

■フォルクスワーゲン ビートル(1969年製)

平谷忠司さんの愛車はフォルクスワーゲン ビートル。シングルプレート・封印・取り付けボルトは新車当時のままで、オーナーは平谷さんで3代目。晴れた日やイベントのある日に走らせているそうです。

「唯一の趣味。クルマは転がしてナンボ。これからも愛情とお金をかけます!」

■スズキ ジムニー SJ30(1985年製)

加藤三千範さん・直美さんご夫妻の愛車、ジムニーSJ30。ご夫妻の知人の紹介で購入したそうで「軽量な2サイクルエンジンと排気音がお気に入り」とのこと。奥さまの通勤やレジャーで大活躍しているそうです。

■トヨタ MR2(1989年製)

『たってぃ』さんのトヨタ MR2(AW11)は、約22年間ともに暮らしている分身的存在。イベントはもちろん、サーキット走行も楽しんでいるそうです。

「走りの楽しさや難しさを教えてくれ、今回の旅行のように色んな方と出会えて本当に楽しいクルマです!」

■ニッサン サニー 1200(1973年製)

立花忍さんのニッサン サニー(KB110GX-5)は、手に入れて約13年。年数回のサーキット走行とツーリング、イベントなどに参加されています。チューニングは自ら手がけていて、自宅で作業を行なっているそうです。

■バーキン セヴン(1991年製)

「色んな面でワガママを言う娘みたいなもんで、可愛い家族です」

と話す爲房晃弘さん。バーキン セヴンは爲房さんが高校生の頃に出会い、いずれはオーナーにと心に決めた1台でした。

VWビートルなどを乗り継ぎながら30年の年月を経て、還暦前に手に入れました。“真面目な不良オヤジ”をキャッチフレーズに、セヴンとのカーライフを楽しんでいるそうです。

「魅力はとにかくライトウエイトのボディに1600㏄のエンジン。決して高速走行でなくても楽しめる、最高の相棒ですね」

■ホンダS2000(1999年製)

筆者は愛車、ホンダS2000(AP1)で参加。手に入れて11年目です。

[写真提供:参加者のみなさん]


▲宇野からフェリーで出発の場合、車輌サイズが3m以上4m未満の場合は1930円、4m以上5m未満の場合は2480円でした。※運転者1名の料金を含む

クルマでめぐって見つけた直島の魅力

直島のメインロードは島を囲む約4km。前後に仲間の気配を感じながらのんびりと走ります。驚いたのは、島全体でをあたたかく迎えてくださる空気を感じたこと。学校帰りの子どもたちでさえ、屈託のない笑顔で手を振ってくれるのです。


▲フェリー乗り場付近は対向二車線で走りやすく、山に向かって道は狭まります


▲筆者の背後にはMR2(AW)の姿。女性オーナーのたってぃさんは愛車を語るときの言葉一つひとつが快く、AWへの愛情があふれていました。※助手席より撮影


▲無線を楽しむ人が手を振ってくれます


▲瀬戸内海の美しさは「多島美」と呼ばれ、島々のシルエットが幾つも浮かび上がります

直島のメインロードを味わったあとはクルマを置いて島内散策

島ドライブを終えたあとは、駐車場にクルマを置いてのんびりと島内アート散策へ繰り出しました。

島内にはアート作品がや美術館が多数点在。島に古くからある建築物のいくつかは当時の姿を残しながら、アート作品として展示されています。それらを鑑賞しながら『島散歩』を楽しみました。


▲レトロなムード漂う路地。カフェや雑貨店が軒を連ねます


▲マンホール蓋のデザインは、直島町の町花『島つつじ』をモチーフにしたもの

クルマ談義に酔う、特別な夜

その夜は島の宿泊施設『つつじ荘』へお世話になります。この日の夕食、筆者はチーズフォンデュをチョイス。ワイワイとクルマ談義を楽しみつつの夕食タイムでした。


▲この日の夕食はしゃぶしゃぶ・ビーフシチュー鍋・チーズフォンデュからチョイスできました


▲シーフードや野菜などの食材にチーズソースをからませていただく、絶品チーズフォンデュ

食後は宿泊しているパオ(モンゴル遊牧民のテント)に集まり、楽しい宴のひとときです。誰も声をかけていないのに、手作りの豚の角煮(なんと保温器入り)やコーヒーメーカー、カクテル用具などを各オーナーが持ち寄って楽しい時間がスタート。クルマの達人は遊びの達人、遊び心とサプライズの血が流れていますね。

筆者はみなさんとほぼ初対面でしたが、まるで昔から知っているような錯覚をおぼえながら、さまざまな話を聞きました。愛車と重ねた時間の話、いままさに『人生の挑戦』をしている話、健康を取り戻した話まで。

こんなに打ち解けられるのも、クルマ好きという共通点があるからこそ。最終的には「やっぱりクルマっていいよね」に落ち着くからなのでしょう。


▲アウトドアの得意なメンバー、宮本英貴さんの特製ソルティードッグをいただきました。宮本さんは蒜山にゲストハウスをオープン予定だそうですよ


▲筆者はトレーラーハウスの客室で。潮騒をBGMに眠りにつきました

“クルマ旅”へ出かけてみませんか

海や山へ出かけるシーズンも真っ盛りです。カレントライフファンのみなさまも、愛車とともに“クルマ旅”へ出かけてみませんか。

クルマが好きってすてきなことです。クルマがメインではないイベントを、ぜひ最愛の愛車とともに楽しんでみてください。

※直島は細い路地が多く、自転車や徒歩の方がいらっしゃいます。車で入島する際には必ず安全運転を。


Photography Ⓒ Daisuke Aochi
タイトル画像提供 / ブルーワークスPHOTO&DESIGN Office

■青地さんの活動はこちらをご覧ください
Blue Works PHOTO&DESIGN Office
https://www.facebook.com/Daisuke-Aochi-Photography-589345117847039/
▲こちらの写真とタイトルフォトは、フォトグラファーの青地大輔さんがご厚意で撮影をしてくださったもの

宿泊&ランチスポット紹介

最後に、すてきな思い出をくれた宿とランチスポットをご紹介します。ぜひ訪れてみてくださいね。

■直島ふるさと海の家 つつじ荘

▲パオエリア 画像提供 / NPO法人 直島町観光協会

直島の南側、琴弾地海岸に面した宿泊施設。和室コテージの『つつじ荘エリア』とモンゴリアンテントの『パオエリア』からなり、『パオエリア』には『パオ』10棟と『トレーラーハウス』が3棟備えられています。

TEL:087-892−2838
営業時間:チェックイン15:00〜21:00、チェックアウト〜10:00
定休日:無休(1月中旬、6月中旬にメンテナンス休)
住所 :香川県香川郡直島町352-1
宿泊料:素泊まり3780円、繁忙期4320円
駐車場:無料(町営公共駐車場)
URL:https://www.tsutsujiso.com/

今回お世話になった宿泊施設。パオはひろびろ、トレーラーハウスも快適でした。潮騒をBGMに眠る贅沢も堪能。

■Café&Dining SeaRay

▲岡山県玉野市にあるシーサイドカフェ

店名の由来は岡山弁の『しれぇ(白い)』から。デザイナーズ家具を配した店内は、ウェディングパーティーも利用できる広さ。ランチは肉料理とパスタから選べます。

TEL:0863-33-3919
営業時間:月〜土11:00〜22:00(LO21:30) 日・祝日〜21:00(LO20:30)
住所:岡山県 玉野市大藪1045
駐車場:無料
URL:https://www.searay-okayama.jp/

岡山へ戻り、解散前に昼食をとったカフェでした。敷地内にはラジコンサーキットもあり、クルマ好きにはもってこい。駐車場は広いので、オフ会にもおすすめです(要予約・相談)。

[ライター・カメラ/野鶴美和]