クルマはみんなおんなじだ、という人がいます。しかし果たしてそうでしょうか。確かに多くは内燃機関のパワープラントを持ち、タイヤが四本あって、車内の前方に運転席と助手席があってその後ろに椅子がある。この辺りのレイアウトは確かに自動車の多くが踏襲しているスタイルでしょう。でも、もっと俯瞰してみてください、そのクルマが生まれた背景を。

例えば旧財閥系の系列企業で使うことも考えられて、プレジデントやデボネアからプラウディアといったクルマたちがありましたね。こうしたクルマは良し悪しやそのクルマの持つ風情ではなく、迫られる商習慣、この国特有のヒエラルキーのようなものがあったから生まれたクルマです。欧米のクルマとはまるで誕生した背景がことなるのです。

ランドローバーもそういうクルマだといえるのです。広大な領地を持つ貴族がその管理、見回りやそこでの狩猟につかうという背景から生まれた側面を意識させられるヘビーデューティーなクルマです。おそらく純然たる軍用車でもなく、過酷な場面で使う人を選ばず、というクルマでもない雰囲気が随所に感じられるクルマ。もともとそんな車種ではないかと思うのです。

どこか優雅というか、泥だらけが似合うクルマではあるものの、どこかクラスを感じるというか、高貴な雰囲気がにじみ出る。ランドローバーを見るとそんなことを思うのです。

ドイツからの便りの中に、そんなディフェンダーの写真がありました。しかも幌のタイプ。カブリオレですね。これは珍しいタイプではないでしょうか。かつては屋根のないタイプに仮に覆いをする幌のモデルはありましたし、90と呼ばれるショートボディのトラックになっているタイプもあって、その荷台部分に覆いをするタイプのクルマは最近のモデルでも作られていましたが、このようなカブリオレはカタログモデルにはなかったように記憶しています。

実はこれ、アフターマーケットで用意されるカブリオレキットではないかと思われます。日本でも購入することができ、キットだけで80万円程度で販売するショップがあるようです。もちろん屋根を切って取り付けますので、それなりのショップやファクトリーでないと取り付けは難しいでしょう。しかし、そのヘビーデューティーな外観のオフロードモデルをベースにカジュアルでタフネスを表現できるカブリオレにコンバートしたいという思いを描く人は少なくないのかもしれませんね。

何より冒頭申し上げたような、様々な事情やお国柄が反映されて生まれた伝統の車種が、時代が変わり、その時代の技術やセンスで手が加えられる。こういう一台のクルマを取り囲む楽しみ方の変遷もまた自動車文化の表れる部分ではないでしょうか。見ているだけでも楽しいものですね。みなさんは、あのクルマ、こんな風にしたらカッコいいだろうな。そんなクルマはありますか?

[ライター/中込健太郎 画像/ドイツ駐在員]