7月23日の第24節を終えて7位、さらなる上位進出を狙うファジアーノ岡山で、期待のルーキーが輝きを放っている。流通経済大から加入したMF塚川孝輝(つかがわ・こうき)だ。

 184センチ、77キロの恵まれた体格を生かしたボール奪取などを持ち味とする守備的MF。開幕当初はベンチ入りできない試合もあったが、徐々に先発出場の機会を増やすと、5月7日の第12節・徳島戦でプロ初得点。7月15日の第23節・金沢戦では2得点目を決め、攻撃面でも力を発揮している。

 出身は広島県で、昨年7月のこのコラムでも書いたが、広島観音高時代に取材したことがある。1年のときからレギュラーで活躍し、3年時は主将を任されていた。守備的MFだけでなく、DFやFWでも力を発揮するオールラウンダー。実際のプレー面だけでなく、精神面の支柱でもあり、チームに不可欠の存在だった。

 当時の広島観音高監督、出木谷浩治さん(現・広島国泰寺高)は、高校時代の塚川について「抜きんでた実力があり、周りにも『アイツが何とかしてくれる』と思われていた」と振り返る。一方で未熟な面もあり、将来を見据えたアドバイスもしていたという。

 そんな塚川は高校3年の9月下旬、足の指を骨折して全治2カ月と診断された。11月中旬が決勝の、高校選手権の県予選に出場できないかもしれないピンチ。だが、ここで他の選手たちが奮起し、予選を勝ち上がる間に塚川も懸命のリハビリを続けた。驚異の回復で準決勝から復帰すると、チームも見事に3年ぶり4回目の出場を果たした。

 出木谷さんは「最初の頃は自分のことだけ考えていたのが、だんだん周りの仲間やチームのことが見えるようになった」と語る。こうした高校時代の経験が、卒業後の流通経済大での成長と、その後のプロ入り、現在の活躍の要因の一つになっているのだろう。

 厳しい暑さとなっている今年の夏、広島観音高は10年ぶりにインターハイに出場する。母校の後輩に負けないだけの活躍で、上位進出への勝負の時期を迎える岡山を支えてほしい。(サッカーライター・石倉利英)