梅雨真っただ中の広島。プロ野球はシーズンを折り返しましたが、皆さま、いかがお過ごしですか。さて突然ですが、我がカープの本拠地・マツダスタジアム正面入り口の目の前に、かつて鉄道が通っていたことをご存知でしょうか。

 その名は国鉄・宇品線。広島駅から海田市方面へ向かう途中で大きく右に曲がり、マツダスタジアムの前を通って広島市南区宇品へと至る路線でした。

 その開業は1894年のこと。1945年の終戦後は、通勤通学の時間帯を中心に高い需要を誇りましたが、市内中心部の復興に伴い施設が次々と移転し、利用者が激減。末期には国鉄随一の赤字路線となり、旅客路線としては1972年に廃止されました。

 1986年まで貨物線として使われたのち、その役割を終えた宇品線。再開発によりその線路跡は大きく変化し、痕跡をたどることは難しくなりました。

 鉄道、特に廃線跡に強烈なノスタルジーを覚える私としては、勤める会社のすぐそばを通っていた路線をたどらずにはいられません。先日、まずは全線にわたって歩いてきました。

 広島駅からは現在のカープロードに沿って走り、マツダスタジアムや広島大学病院の目の前に駅があったことを思うと、もしこの宇品線が残っている世界があったのなら、結構便利な路線になっていたのでは…と、夢想しました。

 宇品線が残っていた場合、現在の位置にマツダスタジアムがあったのか、段原地区の住宅需要はどうなっていたのかなど「たら・れば」を基に意見を書き連ねるのはあまりよろしくありませんが、妄想するだけなら誰にも迷惑はかけません。需要があるから作られ、それが薄れたから廃止されたのですから、そこにまつわる「なぜ?」を掘り進めれば、その路線のみならず土地の歴史まで見えてくるはずなのです。

 もし、現役時代の宇品線について情報をお持ちの方がいらっしゃいましたら、ぜひご教示ください。近い将来、広島を走りその役割を終えた路線たちについて、なにか形にできればと考えています。

 野川諭生(のがわ・ゆう)1993年生まれ。東京都出身。少年期より前田智徳選手に憧れて育つ。カープに携わりたい気持ちを抑えきれず、19年1月にテレビ新広島へ中途入社。現在はカープ戦中継や「TSS ライク!」(月〜金16時50分〜)の木・金曜日キャスターを担当。趣味はビール片手の野球観戦と、ご当地グルメを堪能する鉄道旅。