「最高でーす!!」。9月7日の夜、お立ち台に上がった23歳の若武者から飛び出した力強いフレーズ。懐かしささえ感じるその言葉が、3度スタジアムに響き渡った。

 坂倉将吾選手はこの日、高卒5年目で初の規定打席到達。即、リーグ首位打者に躍り出て、2点ビハインドの九回2死からはなんと逆転サヨナラ3ランを放ってみせた。

 チームを今季初のサヨナラ勝利へ導いた一打に、私は幸運にも実況席で立ち会うことができ、興奮の中、その活躍を描写し続けた。

 今季は開幕から代打や捕手&一塁手でのスタメン起用の中、打撃で結果を残してきた。9月上旬時点で3割を超える打率をキープし、安打&打点はキャリアハイ、ホームランも初の2桁だ。

 どっしりとした構え。鍛え上げた身体に、強固な軸、いわゆる強打者たちが持つ“雰囲気”を打席で感じさせるようになった。打撃で結果を残せている要因を坂倉はこう話す。

 「打席数が増えるなかでやらなければいけないこと、意識することなどが良い意味でも悪い意味でも増えている。それらをしっかりと整理した上で打席に入れている」

 入団以来「速いストレートに振り負けないスイング」を追い求めてきた。プロ入りから一番成長している部分だと本人も手応えをつかみつつある。

 7日の中日戦。R・マルティネス投手から放ったサヨナラホームランも内角高め156キロの真っすぐに振り負けなかった結果だ。この日、解説をしていただいたOB前田智徳さんも、かつて自身が背負った31番を受け継ぐ後輩の姿について「打席を重ねるごとに、失敗も成功もその経験を自分の力に変えている。今季は左投手にも対応できているのが非常に大きく、若さと勢いの下、それらが自信となって一気に才能が開花している」と賛辞を贈っていた。

 一心不乱に打撃を追い求める姿はまさに「侍」。同じ左打者、期待と願いも込めてお二人を重ねてしまう自分がいる。まだ23歳、楽しみすぎる成長の道のりを、そっと見守りたい。

 廣瀬 隼也(ひろせ・じゅんや)1982年4月16日生まれ、神奈川県横須賀市出身。プロ野球やメジャーリーグ、海外サッカーを中心にスポーツアナウンサーとして活躍後、2013年広島ホームテレビ入社。現在、プロ野球カープ中継や高校野球の実況をメインで担当。勝利を引き寄せるべく、実況では“一瞬の言葉&声”で勝負する!