広島のドラフト4位・清水叶人捕手(19)=健大高崎=は高校通算25本塁打の打棒と強肩を武器に“打てる捕手”として球団の評価は高い。現在はファームの試合に出場しながら倉2軍バッテリーコーチから捕手としての基本をたたき込まれる毎日だ。

 ファームでは試合前から先輩捕手たちと泥にまみれる。石原、持丸、高木と4人で倉コーチの指導の下、基本動作から徹底的にたたき込まれている。

 「課題しかない。一番はキャッチング。キャッチングは元々、自信がなかったので入ってからまずは倉さんには止める技術をやっていこうと言われました。フレーミングどうこうではなく、まず止める。そこをしっかりこれからもやっていきたいですね」

 際どいボールをキャッチングでストライク判定にするフレーミングではなく、投手が投げたところできっちりと止める。ここに集中して取り組んでいると話す。

 自慢の強肩は首脳陣も認めるところではあるが、過信はない。

 「いいときはいいけど波が激しいのでしっかり形を作ってしっかりやりたいですね。自分の武器に変わりはないですけど、まずは下半身を使っていこうかなと思います」

 目の前の結果ではなく、将来、一流捕手になるために今は地道に基礎作りを励む。

 そんな中で23日・オリックス戦(佐藤薬品)では八回2死の場面で吉田から右翼スタンドへうれしいプロ初本塁打を放った。

 「初球から打つ意識を持つとだんだんタイミングが合ってくるので、結果どうこうよりもまず初球から振っていけるようにというのはあります。どのボールに対しても初球から振っていきたい」

 高校通算25本塁打のパンチ力も魅力だが「ミート力アップ」を目指している。

 刺激もあった。2軍で調整中だった大瀬良とシート打撃で対戦する機会に恵まれた。

 「キレと速さがありました。今の自分では太刀打ちできないなと。打てるようになりたいです」

 一線級の投手と対戦したことにより、プロにおける自分の現在地を知り、新たな目標が生まれた。

 ブレることなく、地道に一つ一つの課題をクリアして、坂倉に続く鯉の正捕手を目指す。(達野淳司)

 ◆清水 叶人(しみず・かなと)2004年7月6日生まれ、19歳。群馬県藤岡市出身。176センチ、83キロ。右投げ左打ち。捕手。美土里小1年時に兄の影響で野球を始める。健大高崎では高校通算25本塁打、二塁まで1・8秒台という強肩で注目を集め、22年のドラフト4位で広島に入団。ウエスタン24試合に出場し、打率・195、1本塁打、2打点、1盗塁(23日現在)。