「広島1−0巨人」(12日、マツダスタジアム)

 広島・薮田和樹投手(25)が今季11勝目をプロ初完投初完封で飾った。巨人のエース菅野に投げ勝ち、1点のリードを守り切って今季チーム完封一番乗り。最速153キロの直球を中心に巨人打線をわずか4安打に抑えた。今季途中から先発に転向した右腕が、チームの連敗を3でストップさせた。

 赤い大歓声に背中を押され、薮田は九回のマウンドに上がった。1−0の展開も「黒田さんみたいだなあ」と心にゆとりがあった。1死後、阿部に通算1999本目の安打を許した。本拠地が異様なムードに包まれたが、最後は村田をカットボールで二ゴロ併殺に。「小学生以来」の完封勝利を達成した。

 「何としても勝ちたかった。苦しい展開になると思っていたので何とかゼロに抑えられて良かったです!」

 自ら志願した九回のマウンドだった。八回の攻撃前、首脳陣から意思を問われ、「行かせてください!」と言った。ヘルメットをかぶり、先頭の打席へ。地鳴りのような声援を全身に感じ、「新井さんはこんな感じなのかあ」と感慨に浸る余裕まであった。9回を4安打無失点。三振は6つと控えめだったが、最速153キロの直球と宝刀ツーシームを武器に、巨人打線をねじ伏せた。

 球界のエースに強烈な恩返しだ。7月中旬に初出場した球宴で、同僚の岡田と並んで菅野に“完封の極意”を尋ねた。「(先頭に)四球を出しても、次のバッターを打ち取れば点は入らない」。目からうろこの金言だった。

 心にゆとりが生まれ、初の投げ合いで早速実践した。この夜のマウンドは、「いい感覚と悪い感覚の繰り返しだった」と言う。ワインドアップで制球を乱し4四死球を与えると菅野の言葉を思い出した。落ち着きを取り戻して、3度の併殺で切り抜けた。

 「菅野さんより早くマウンドを降りないという気持ちでした!」

 お立ち台ではそう声を張り上げ、ファンの歓声に応えた。緒方監督も大絶賛。「今日は薮田のピッチングに尽きる。相手のエースと互角に投げ合ってくれた。素晴らしいピッチングだった。この完封を大きな自信にしてほしい」と最後まで賛辞を惜しまなかった。

 7日に25歳の誕生日を迎えたばかり。開幕前に「シーズンを通して1軍にいたい」と話していた右腕は、もう立派な先発ローテの大黒柱だ。若き剛腕が、119球を投げ抜き、連敗中のチームを救った。