【内藤國雄・人生自在流3】(後編)

 次に読書。貸し本屋に通い、少年向きの世界名作全集を読みつくし、大人向きの時代小説(チャンバラもの)も読みふけった。童話はアンデルセンやグリム、剣豪ものでは塚原卜伝。

 地元の商店街では月に1度、夜店が開かれるようになった。その中にヒヨコを売っている店があり、3羽20円。「当時、卵は高級品で高かったのに、ヒヨコは安かった」。あまりの可愛さに3羽買った。

 昔の家は寒かった。今のような暖房器具のない時代。ヒヨコは寒さに弱く、ある朝、3羽とも冷たくなっていた。ふわふわした体が、ガチガチになっていた。

 夜店が出るたびに3羽買い、夜中に湯たんぽを入れたが、それでも1週間と持たなかった。

 「“電気がえし”のものは育たない。やはり親鳥が抱いたものでないとね」と“本物”のヒナを2羽くれた人がいた。雄と雌で、夜店のものと生命力が全く違った。

 週に2回産む卵を、内藤少年は母に1個10円で買ってもらった。50円たまると、近くの郵便局に行き貯金した。

 窓口のおばさんから「坊や、えらいね」と褒められるのが「とてもうれしかった」という。

 「そのころ、将来は養鶏場の親父さんになりたいと思っていた」というから、内藤少年、鶏の飼育には相当の熱の入れようだった。=敬称略=