【五輪に愛され続けた男・野村忠宏31】(後編)

 2018年4月、代表取締役となって「ネクステンド」を設立。男子66キロ級の阿部一二三と初のマネジメント契約を結んだ。11月には、18年世界選手権(アゼルバイジャン)で「兄妹同時金メダル」で注目を集めた52キロ級の阿部詩とも契約。豊富な経験を伝えるべく、2020東京五輪に向かって準備を整えた。五輪で「兄妹同時金メダル」の偉業を成し遂げた2人にとって、憧れの柔道家が常に近くにいる心強さとはどれほどのものだっただろうか。

 「世界を舞台に戦うアスリートが、競技者としての夢をつかみ取れるように、経験を生かしながら全力でサポートしていきます」

 会社の設立にあたって、会社と、自身の理念をそう決めた。競技者として多くは語らなかったが、今では立場や競技、年代を超えて自分の経験を全力で伝えている。前人未到の3連覇の価値と意義が体現されていくのは、本当の意味でこれからだ。

 「アスリートと共に夢を実現する」

 現在(いま)の野村の夢である。(終わり)=敬称略=