北朝鮮は、国内への新型コロナウイルスの流入を防ぐために、国境を封鎖し、貿易を停止、さらに国境の警備を強化して、密輸に対して厳しい取り締まりを行っている。

そのための人員として「爆風軍団」と呼ばれる特殊部隊員3000人を現地に投入したが、現地の民間人、地元部隊の軍人とトラブルを起こしたり、中国に不法侵入して強盗を働いたりと、様々な問題を引き起こしている。

そのこととの関連は不明だが、当局は密輸の取り締まりに当たる別組織を立ち上げ、人員をさらに投入した。

デイリーNK内部情報筋によると、「非常防疫検閲組」という組織が先月立ち上げられた。この新たな組織は4人1組のチームを編成し、国境地帯で国の承認を得ていないすべての取引と密輸を取り締まっている。同時に情報収集を行い、密輸に加担した者の逮捕にも乗り出している。

先月15日には平安北道(ピョンアンブクト)新義州(シニジュ)に駐屯している国境警備隊31旅団の幹部ら8人を逮捕した。民間人からワイロを受け取り、密輸を見逃した容疑だ。

情報筋は、「幹部と言えども制服を脱ぐ(軍を辞める)だけでは許されない」と見ている。金正恩党委員長の命令に背いたことで、革命化(奥地への追放)、懲役刑、あるいは「見せしめ」のためのさらなる処罰が予想されるというのが現地の見方のようだ。

脱北者で韓国紙・東亜日報の記者であるチュ・ソンハ氏によれば、咸鏡北道(ハムギョンブクト)の穏城(オンソン)郡で今年8月、新型コロナ対策の順守を徹底しなかったとの理由で、少なくとも7人が処刑されている。

国境警備隊のみならず、軍や保衛部(秘密警察)からも逮捕者が出ているようで、現地は相当殺伐とした雰囲気だという。情報筋は、一連の取り締まりが今月10日の朝鮮労働党創建75周年の記念日までは続くと見ている。

政治的に重要なイベントの前には、それに水を差すような事件、事故の発生が許されず、取り締まりが強化されるが、イベントの後には徐々に緩和されるのがいつものパターンだ。

ちなみに、新組織は社会安全省(警察省)が先月25日に下した、「北部国境封鎖作戦を支障を与える行為をしないことについて」という布告に基づいいた組織だ。

布告の内容は、国境封鎖線から1〜2キロの地域に厳重地帯を設定し、接近や夜間の通行を禁じ、違反者は人も動物も無条件で銃撃するというもので、新たに組織されたこの組織は新型コロナウイルスの国内への流入、中でも密輸に特化して取り締まりを行っている。

ただ、北朝鮮は先月、中国との間で「中国人に対しては銃撃は行わない」「もし銃撃で中国人に被害が発生した場合には北朝鮮が金銭的ペナルティを負う」ことで合意しているとされる。