北朝鮮の金正恩党委員長は5日から開催されている朝鮮労働党第8回大会で行った報告で、「朝鮮半島と世界の平和と安全を保障しようとの一念から、地域の緊張激化を防ぐため、わが党と共和国政府は善意の努力と最大の忍耐を発揮したが、米国の対朝鮮敵視政策は弱まるどころかむしろ激化した」との認識を示し、それに基づき、核戦力のいっそうの強化を進める方針を明らかにした。

その中で金正恩氏は、米国をねらう戦略核兵器とともに、局地的な作戦で用いられる戦術核兵器の開発を指示した。威力が巨大なため、先制使用した場合に敵からの大量報復を招く可能性が高く、実際には「使えない兵器」とされる戦略核と比べ、戦術核は威力が抑えられていることから「使える核兵器」とも表現される。

北朝鮮が戦術核の開発・配備を進めれば、日本の防衛政策に影響を与えるのは必至だ。

朝鮮中央通信が報じた、該当部分の概要は次のとおり(編集部訳)。

報告は、朝鮮半島と世界の平和と安全を保障しようとの一念から、地域の緊張激化を防ぐため、わが党と共和国政府は善意の努力と最大の忍耐を発揮したが、米国の対朝鮮敵視政策が弱まるどころかむしろ激化したことについて分析した。

わが国家をねらう敵の先端兵器が増強されているのを眺めながら、自らの力を不断に養うことをせず、のんびりしていることほど愚かで危険千万なことはない。

現実は、国家防衛力を一瞬も停滞させずに強化してこそ、米国の軍事的危険を抑制し、朝鮮半島の平和と繁栄を成し遂げられるということを見せている。

報告は、強力な国防威力は決して外交を排除するものではなく、正しい方向に主導し、その成果を担保しうる威力ある手段になると強調しながら、醸成された情勢の中の現実は、軍事力強化において満足はあり得ないことを、改めて確証していると分析した。

地球上に帝国主義が残り、わが国家に対する敵対勢力の侵略戦争危機が続く限り、わが革命武力の歴史的使命は絶対に変わることがなく、わが国家防衛威力は新たな発展の軌道に沿って不断に強化されなければならない。

報告では国防工業を飛躍的に強化発展させるための中核的な構想と、重大な戦略的課題が言及された。

核技術をいっそう高度化する一方、核兵器の小型軽量化、戦術兵器化をいっそう発展させ、現代戦での作戦任務の目的と打撃対象によって、様々な手段に適用できる戦術核兵器を開発し、超大型核弾頭の生産も持続的に推進することで、核の脅威が伴わざるを得ない朝鮮半島地域における各種の軍事的脅威を、主導性を維持しながら徹底して抑制し、統制管理できるようにしなければならない。

これとともに、1万5000キロの射程圏内の任意の戦略的対象を正確に打撃掃滅させるための命中率をいっそう高め、核先制および報復打撃能力を高度化することに関する目標が提示された。

近い将来、極超音速滑空飛行戦闘部を開発導入することに関する課題、水中および地上(発射)個体エンジン大陸間弾道ロケット開発事業を計画通りに推進し、核長距離打撃能力を高めるうえで重要な意義を持つ原子力潜水艦と水中発射核戦略兵器を保有することに関する課題が上程された。

近い将来、軍事偵察衛星を運用して偵察情報収集能力を確保し、500キロ前方の縦深まで精密偵察を行うことのできる無人偵察機をはじめとする偵察手段を開発するための最重大研究事業を本格的に推進することについても言及した。

報告は、国防科学技術を高度に発展させ、先端兵器と戦闘技術機材をより多く研究開発し、人民軍を在来式構造から先端化、精鋭化された軍隊に飛躍発展させることを、現代の国防科学部門に求められる基本課題として規定した。

武装装備の知能化、精密化、無人化、高性能化、軽量化の実現を、軍需産業の中核的な目標として定め、研究開発事業をここに志向させなければならない。