両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋は、国境警備隊第25旅団の隊員、軍官(将校)11人が先月20日、普天(ポチョン)郡の樺田里(ファジョンリ)で銃殺されたと伝えた。川向うの中国にも銃声が響き渡ったことだろう。

経緯は詳らかにされていないものの、最近まで行われていた検閲(監査)の結果に基づくもので、国境を守るべき国境警備隊員が密輸に加担する現象が根絶されないことに対して、当局は「もはや我慢できないという心情で、芽を摘むことにしたのだろう」(情報筋)ということだ。

新型コロナウイルス対策で国境を封鎖している現状では、密輸は防疫ルール違反となる。金正恩総書記は防疫ルールの違反者に、軍法を適用するよう命じている。

銃殺後、「やつらは反逆者だ」「やつらの末路を目に焼き付け、覚えておくべきだ」などと言ったプロパガンダが続けざまに行われ、国境警備隊のみならず、密輸で生計を立ててきた多くの地域住民の間にも恐怖が広がっているという。

短縮されたとはいえ、依然として世界最長の北朝鮮の兵役。どうせ行くなら条件が少しでもマシなところに行きたいと思うのは当然だが、中でも人気があるのが国境警備隊だ。

朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の兵士が飢餓に苦しむのを横目に、国境警備隊の隊員は、住民からワイロを受け取って密輸や脱北を黙認、幇助、或いは直接関与することで現金収入を得て、相対的に恵まれた生活を送ってきた。商売の元手を得ることができ、除隊後も裕福な暮らしが営めるなどメリットが大きいため、ワイロを使ってでも入隊しようとする例も珍しくない。

ところが、コロナで状況は一変。今まで以上に国境警備、密輸取り締まりが厳しくなり、密輸や脱北に手を出すのは非常にリスキーになった。それでも根絶できないことに業を煮やした当局は、強硬策に出たのだ。

銃殺の理由についての当局の説明はこのようなものだ。

「国境封鎖を執行すべき軍人たちが、率先して(規則を)破った。(密輸による封鎖で)被害は住民が受けている」

道内の恵山(ヘサン)、三池淵(サムジヨン)では昨年来、相次いで封鎖令(ロックダウン)が下されている。いずれも理由は脱北、密輸、密入国だ。食糧を確保する時間的余裕を与えられず家宅軟禁状態に追い込まれた市民が相次いで餓死する事態となり、市民の不満が高まり、4度目のロックダウンは、わずか1日で解除に追い込まれた。

当局は、その原因を提供した国境警備隊員を銃殺することで、怒れる世論を少しでもなだめようとしているのだろう。

しかし、人の命を奪うことで市民の不満が解消することはないだろう。ロックダウンを行うなら、それに耐えうるだけの食糧配給を行うべきところだが、ほとんどなされない。また、国境封鎖により合法、非合法を問わず貿易ができないことで、現金収入を得られなくなっている。コロナ対策が人を死に追いやっている現状の改善が、人民の心をつなぎとめる近道ではないのか。

「(当局は)空腹を解決してくれず、(金正恩総書記の)人民愛ばかり強調する」(情報筋)