昨年1月から新型コロナウイルス対策で国境を封鎖し、鎖国状態となっている北朝鮮。人の行き来に加えて物の輸出入まで遮断されたことで、国内は物資不足に陥り、輸入品を中心に物価が高騰した。そして鎖国から1年以上経った今、地域によって物価に大きな差が出る現象が起きている。

デイリーNK内部情報筋によると、中国との国境に接する咸鏡北道(ハムギョンブクト)会寧(フェリョン)の市場で、小麦粉1キロが2万8000北朝鮮ウォン(約448円)、砂糖1キロが4万5000北朝鮮ウォン(約720円)、化学調味料450グラムが16万5000北朝鮮ウォン(約2640円)で売られている。これは、コロナ鎖国直前の昨年1月と比べて小麦粉は5倍、砂糖は8倍、化学調味料に至っては33倍の水準だ。(価格は3月25日のもの)

首都・平壌郊外の平城(ピョンソン)市にある玉田(オクチョン)総合市場では、小麦粉1キロは1万1200北朝鮮ウォン(約179円)、砂糖1キロは3万1000北朝鮮ウォン(約496円)で売られている。(価格は3月23日のもの)会寧での中国製の食料品価格は、平城と比べて45%から250%も高い。

一方、穏城と同じ咸鏡北道(ハムギョンブクト)の清津(チョンジン)の市場では、当局が市場に対する価格統制に乗り出すとの噂が流れ、いち早く売り抜けようとする商人が出て物価が大幅下落している。

コロナ以前は、合法・非合法の形で様々な物資が中国から持ち込まれる国境地域は、輸入品価格が他の地方と比べて安かったのだが、その状況が一変したことについて情報筋は、輸入ルートの変化を理由に挙げる。

「コロナ後に、ほんの少し輸入される品物は新義州(シニジュ)から運び込まれ、平壌や平城など主要都市に運ばれるため、(他の)国境地域や内陸地域との物価の差が大きくなったようだ」(情報筋)

また、タクシーやソビ車(民間人所有の車両)による流通が頻繁に行われていたものが、コロナで移動統制が厳しくなったことも、物価の差が開いた一因として挙げられている。

一方で、市場に対する統制も強化されている。コロナ前には午前9時から午後6時または7時まで営業していた会寧の市場だが、今では午後2時から6時までに営業時間が制限されている。

また、中国との国境に接した地域では、封鎖令(ロックダウン)が乱発され、市場の営業ができない状況が続き、再開した今でも、隔日での営業しか認めていない。