昨年1月のコロナ鎖国以降、乱高下を繰り返してきた北朝鮮のガソリン価格だが、先週から急落に転じている。

デイリーNK内部情報筋が伝えた情報によると、今月15日の時点で平壌のガソリン1キロ(約1.34リットル)の価格は7000北朝鮮ウォン、軽油1キロ(約1.25リットル)は4000北朝鮮ウォンだった(1000北朝鮮ウォンは約20円)。その3日前と比べると、それぞれ36%、53%も急落した。

ガソリンと軽油の価格は中国からの輸入が行われた今年2月と3月に下落したものの、その後は上昇を続け、先月初めにはそれぞれ1万3000北朝鮮ウォン、1万北朝鮮ウォンに達した。

ところが今月11日、金正恩総書記と中国の習近平国家主席が、中朝友好協力相互援助条約の締結60周年を迎え祝電を交換した直後に、価格の暴落が始まったというのが、復数の情報筋の証言だ。

これについて北朝鮮国民は「(中国から来た)燃油は、金正恩氏の親書への返事」だと噂しているとのことだ。

油田のない北朝鮮は、石油製品の供給を中国とロシアに依存している。中でも中国とはパイプラインが繋がっている。2017年9月に国連安全保障理事会が採択した対北朝鮮制裁決議2375号は、北朝鮮への原油・石油精製品の輸出を制限しているが、中国から援助の形で搬入された場合は、制裁には引っかからない。

今回の物量のほとんどは、首都・平壌郊外の南浦(ナムポ)港を経て北朝鮮に持ち込まれたが、一部はパイプラインを使用したと伝えられている。別の情報筋は、パイプラインの終点であるピヒョンの白馬烽火化学工場にトラック数十台が行き来していたと伝えている。

中央党(朝鮮労働党中央委員会)、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)、国営の企業所に供給される国家計画分は海上を通じて、民間向けのものはパイプラインを使った可能性が高いと思われる。

その量だが、以前の平均輸入量を遥かに越えるものだったと指摘されている。北朝鮮でガソリンや軽油を購入するには当局発行のチケットが必要となるが、「その発行量から計算すると、1〜2週間でなくなるほどの少量ではなかったことがうかがえる」と情報筋は証言している。

さらに、石油製品を受け取る代わりに、中国には鉱物資源が安値で売り渡されたとのことだ。これはもちろん、国連安保理の「制裁破り」に当たるが、情報筋は、中国が鉱物資源を要求し続け、今後、マグネシアクリンカーと鉄鉱石などの輸出が増えるだろうと述べた。

昨年1月からストップしている通常の貿易は未だに再開されていないが、国が承認したごく一部に限って輸出入が行われていることが伝えられている。今回の取り引きは、その一例だろう。