北朝鮮で11日、朝鮮労働党創立76周年を記念する国防発展展覧会「自衛-2021」が開かれた。開幕式では金正恩総書記が記念演説を行った。

北朝鮮が国防発展展覧会を開催するのは初めてだが、どうやら金正恩氏が最高指導者になってから、いかに北朝鮮の軍事力が発展してきたかを誇示するイベントのようだ。金正恩氏が演説を行ったが、舞台の脇に移動式発射台(TEL)に載せられたICBMが置かれている。新型の「火星-16」型と見られる。これ以外にも過去5年間に開発されたミサイル、ロケット砲などの兵器が展示された。

兵器の展示だけでなく、壁には軍服姿の金正恩氏の肖像写真が掲げられた。金正恩氏はこれまで軍服姿で公の場に姿を現したことはない。軍服姿の写真は以前にも公開されているが、このタイミングでこれ見よがしに見せる背景が気になるところだ。

何しろ金正恩氏のメディア戦略は、祖父の金日成主席や父の金正日総書記と比べ、きわめて独特なものがある。これほど自分の様々な姿を開けっぴろげにさらしてきた北朝鮮の指導者は、金正恩氏が初めてだ。

軍服姿の金正恩氏以上に驚かされたのは、「金正恩Tシャツ」が初登場したことだ。朝鮮中央通信の報道で出席は伝えられなかったが、報道写真では金正恩氏の実の妹である金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党副部長や玄松月(ヒョン・ソンウォル)副部長らしき女性の姿も見られる。

その端に開幕セレモニーで演奏を担当したと見られる楽団員が、明らかに人の顔がプリントされたTシャツを着ている。鮮明ではないが、金正恩氏の顔がプリントされたTシャツのようだ。

展覧会は朝鮮中央テレビでも放送されたが、キャプチャー写真を見たところ、金正恩Tシャツと見て間違いないようだ。公の場で着用されたわけだから、公式「金正恩Tシャツ」である。

 

北朝鮮では、金日成主席と金正日総書記の肖像が描かれた徽章(バッジ)を胸につけることが国民に義務付けられている。バッジに傷をつけたりすると政治犯として処罰されるという報告もある。ただし、金正恩氏はあまり好きではないのか、つけないケースが多い。

金正恩氏のバッジが登場していないところを見ると、彼自身が肖像バッジに興味がないのかもしれない。だからといって、自らの顔がプリントされた「金正恩Tシャツ」を製造し、さらにイベントで着用させるのもどうかと思う。肖像バッジだけではなく、最高指導者の顔が描かれた印刷物を傷つけることは冒涜に値する。例えば新聞などは顔に折り目がつかないような独特の折り方をしなければならない。

それにしてもTシャツだけに、汚れたり洗濯して色落ちしてしまったらどうするのだろうか。