北朝鮮の各国営メディアは、金正恩総書記が今年1月の朝鮮労働党第8回大会で新たに打ち出した国家経済発展5カ年計画の初年度の計画を達成せよと促し、念仏のように「国家経済発展5カ年計画遂行の初年」という言葉を繰り返している。

だが、北朝鮮国内から伝わってくる計画の進行状況は、決して芳しいとは言えない。

平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋は、順川(スンチョン)地区炭鉱連合企業所が、11月の生産総和(総括)で、目標生産量の半分しか達成できなかったことが明らかになったと伝えた。

その原因として、まず情報筋が挙げたのは資材不足だ。

「生産量未達は、坑木(坑道を支える木材)、削岩機の部品など、資材の不足が一因だ」(情報筋)

削岩機のビット(先端部分)は輸入に頼っているが、昨年1月からのコロナ鎖国で貿易が止まり、輸入ができなくなったことから、岩盤を掘削するスピードが落ちてしまったのだという。

そのような状況に対して、北朝鮮が出した答えは「自力更生」だ。

北朝鮮の朝鮮労働党機関紙・労働新聞は先月4日、石炭研究所が「軽質合金制作において重要な原料の生産工程を現代的に建設し、削岩機のビットを国産化できる科学技術的土台を整えた」と報じた。

ただ、ビット生産技術を開発し、商品化にこぎつけたわけではない。開発できたとしても使い物になるかは未知数で、随分気の長い話だ。情報筋も頭を抱えている。

「自力更生を叫んではいるが、今すぐ使う部品も作れずにいる」(情報筋)

情報筋が挙げた、石炭生産計画大幅未達成のもう一つの原因は、電力不足だ。

「電気が不足し、積載機と運搬設備の稼働率が下がった。人の力で(運搬を)しているので、生産量が落ちるほかない」(情報筋)

地下の坑道で掘り出した石炭を地上に上げるためのウィンチ、外に運び出すためのトロッコのいずれも使えず、労働者が石炭を背負子で外に運び出している状況だ。これでは、生産量が伸びるはずがない。

北朝鮮の慢性的な電力不足の理由としては、発電設備の老朽化、燃料の不足、降水量の少ない気候を無視した水力発電への偏重の政策などが挙げられる。

部品と電力の不足で、稼働率が落ちているのは炭鉱だけではない。農場では部品不足のためトラクターなどが使えず、停電が頻発し、収穫したコメの脱穀に支障が出ているとのことだ。産業全体が同様の状況に陥っていることは想像に難くない。これが「国家経済発展5カ年計画遂行の初年」の現実だ。

計画を達成できないとなれば、下級幹部や現場の技術者などに責任が押し付けられ、処分を受けることになると思われるが、まだそのような動きはないのか、情報筋は言及していない。