北朝鮮・平安北道(ピョンアンブクト)の新義州(シニジュ)市郊外にある白土里(ペクトリ)にある3号教化所(刑務所)から今月18日、煙が上がった。市内中心部から南へ数キロ、新市街地に隣接した地域だけあって、時間帯がもし昼間だったら、その光景を目の当たりにした市民の間に動揺が広がったことだろう。

この煙の正体は、70体もの遺体を火葬した際のものだった。

いかに環境が劣悪で、虐待が横行する北朝鮮の刑務所といえども、この数はさすがに異常と言える。

複数のデイリーNK内部情報筋の話を総合すると、いきさつは次のようなものだ。

3号教化所と近隣にある労働鍛練隊(軽犯罪者を収監する刑務所)で、発熱、咳、嘔吐などを症状を見せ、死亡する者が相次いだ。ある教化班では、20人中7人が1カ月以内に亡くなったという。同様に亡くなった人の数が、1カ月で70人に達したということだ。

いずれの情報筋も「コロナ」という言葉は使わずに、「伝染病が広がったようだ」と伝えた。北朝鮮では「コロナ」という言葉の使用が徹底的に避けられることもあり、コロナなのか別の伝染病なのか、情報筋の話だけではどちらかは判断できない。

ただ、衛生環境の劣悪さから、一般社会でもしばしばコロナ以外の各種伝染病が広がる北朝鮮のこと、教化所、労働鍛練隊ならばなおさらのことだ。

教化所は、基礎疾患を持っていた受刑者が、寒さで免疫力が落ちて病気が悪化し、死亡したと説明している。しかし、教化所の内外では伝染病による集団死亡事件だという噂が急速に広がっているとのことだ。

労働鍛練隊の受刑者が受刑中に死亡した場合、遺体はそのまま家族に引き渡されるが、コロナの疑いがある場合は火葬を行う。これが噂の根拠となっているようだ。つまり、人々の使われる用語は「伝染病」だが、実際は「コロナ」を指していることが充分考えられる。

当局は、今回の集団死亡事件を深刻に受け止め、3号教化所と労働鍛練隊で勤務する安全員(警察官)に対して、受刑者管理不行き届きの責任を問い、そのほとんどを異動させ、一部は除隊(免職)させる措置を取った。