北朝鮮国営の朝鮮中央通信は7日、同国オリンピック委員会と体育省が中国オリンピック委員会などに書簡を送り、北京冬季五輪への不参加を伝えたと報じた。

同通信によれば、書簡は「オリンピック競技大会の成功裏の開催を阻んでみようとする米国と追随勢力の反中国陰謀策動がより悪らつになっている」とし、「これを国際オリンピック憲章の精神に対する冒とく、中国の国際的イメージをダウンさせようとする卑劣な行為にらく印を押し、断固反対、排撃する」と強調した。

そのうえで、「敵対勢力の策動と世界的な大流行伝染病の状況によって競技大会に参加できなくなったが、われわれは盛大で立派なオリンピック祝祭を催そうとする中国同志たちの全ての活動を全的に支持、応援する」としているという。

これを受け、中国が落胆ないし不快感を覚えることはないだろう。北朝鮮選手団の不参加が五輪に与えるダメージは大きくないし、中国は北朝鮮の窮状を誰よりも理解しているからだ。

それに比べ、韓国の文在寅大統領の落胆はさぞ大きいのではないか。

任期が残りわずかとなった韓国の文在寅氏にとって、最大の外交的課題は朝鮮戦争の「終戦宣言」を実現することだ。もし、北朝鮮が金正恩総書記か、妹の金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党副部長を北京五輪の開会式に送ったなら、文在寅氏は自ら現地に乗り込んで米国との対話を促し、終戦宣言への道筋をつけようとしたはずだ。

だがそれも、北朝鮮が五輪不参加を表明した以上、実現可能性はほぼゼロとなった。

ただ、北朝鮮が北京五輪に参加していたとしても、終戦宣言には到達できなかった可能性の方が高い。

米国政府は先月10日、人権侵害などを理由に北朝鮮の李永吉(リ・ヨンギル)国防相と中央検察所を制裁指定した。これは、バイデン政権発足後に初めて出された人権問題に関する制裁だ。

金正恩氏が、人権問題で非難されるのを何より嫌っていることは広く知られている。それなのに敢えて、人権問題で制裁を加えたのは、バイデン政権に金正恩体制を甘やかす気がないことの表れと言える。

文在寅氏の望みは事実上、この米国の態度表明により潰えていたと見て間違いではなかろう。

文在寅氏の、この5年間にわたる対北融和政策は失敗に終わった。その最大の原因は、何より彼自身が、米国との信頼関係構築に失敗したことだと言えるかもしれない。