韓国軍の合同参謀本部は14日午後、北朝鮮が朝鮮半島東の海上に向けて弾道ミサイルと見られる飛翔体を発射したと発表した。北朝鮮のミサイル発射は、今年に入りすでに3回目だ。

一方、金正恩総書記は11日、国防科学院が行った極超音速ミサイルの試射を視察した。金正恩氏がミサイル発射を現地視察したのは、「戦術誘導兵器の試験射撃」を視察(2020年3月21日)して以来661日ぶりだ。この間、視察は部門責任者に任せていたが、今回改めて現場に出てきたのは、極超音速ミサイルの発射実験が「成功」したことの意義を、強調する狙いがあると思われる。

しかしそれにしては、同通信など北朝鮮メディアの報道に奇妙に思える部分があった。

朝鮮中央通信と朝鮮労働党機関紙の労働新聞は、視察を報じる記事とともに、7枚の写真を公開した。そのうち、金正恩氏が映っているものは4枚あるのだが、本人が正面を向き、顔がハッキリ写っているものは1枚しかないのだ。

またその1枚も、党本部庁舎で極超音速兵器研究開発部門の中核メンバーらと撮影した集合写真であり、視察現場でのものではない。残る3枚のうち1枚は、横顔がわずかに見えるが、あとの2枚はまったく顔が見えない。

彼の父である金正日総書記の時代まで、最高指導者の後頭部しか見えない写真が公開されるなど、とうてい考えられないことだった。それが金正恩時代になってからは、大きく変わった。金正恩氏は、自分が現場で兵器の発射(あるいは着弾)を見守っている構図の写真が好みらしく、後ろ姿を撮った写真が度々公開されている。

金正恩時代になってからの、メディア戦略の大きな変化の表れと言えるだろう。

しかしそれにしても、今回のような重要な試射の現場写真に金正恩氏の顔がまったく写っていないのは奇妙に感じられる。同氏を巡っては、何かというと健康不安説や影武者説が蒸し返されているが、「顔面に何か問題が生じたのか?」と思いたくなってしまう。

北朝鮮では、最高指導者のネガティブな噂話が発覚すれば、流布した人々は極刑を免れない。

それだけに、金正恩氏の身に何か起きていても情報は伝わりにくいのだ。だがそれだけに、こうした写真数枚が何を示唆しているかにも、ついつい敏感になってしまうのだ。