北朝鮮が昨年から発行している「トンピョ」。その性格を巡り様々な憶測が飛び交ったが、北朝鮮ウォン紙幣の代わりに発行された金券であるようだ。国と自国通貨に対する信用が極度に低い北朝鮮では、トンピョはなかなか受け入れられず、当局がわざわざ「受け取らなければ重罰」との警告を発するくらいだった。

そのような状況は依然として変わっていないが、今後も発行が継続されるようだ。

デイリーNKの内部情報筋によると、昨年末の朝鮮労働党中央委員会第8期第4回総会でトンピョに関する議論が行われ、ある程度の現金確保の効果があったとの結論が下された。

昨年発行が始まったトンピョだが、規模は限定的で、国民の信頼も非常に低い。だが、発行量に準じる外貨と自国通貨が確保できたというのが情報筋の話だ。

当局は銀行に対して、トンピョの外貨への両替を受け付け、信頼度を高めよとの指示も下した。トンピョの信頼度が低く、国民の間の不信感が大きいことを意識し、対策が必要と考えているようだ。

また、トンピョの受け取りを拒否したり、値引いて受け取ったりして逮捕された商人、両替商を、来月の光明星節(金正日総書記の生誕記念日)80周年記念の大赦令(恩赦)の対象に含めるよう指示を下した。

寛大な姿勢を示すことで、政権への忠誠心とトンピョへの信頼度を同時に高めようとする意図があるものと思われる。また、昨今の反社会主義、非社会主義行為の取り締まり強化により収監者が激増したことへの対応という側面もあるだろう。

さて、トンピョの信頼度だが、依然として低いままだ。北朝鮮ウォンですら信頼度が低く、資産は米ドルや中国人民元で持つのが当たり前なのに、「いつなくなるかわからないトンピョを誰が信頼するのか」(情報筋)ということだ。

別の情報筋は、トンピョを使おうにも相手が受け取りを嫌がるため、北朝鮮ウォンや他の外貨に両替する必要があり、非常に面倒だと述べている。また、トンピョで支払った場合、おつりを返してもらえない点も不便な点だという。