北朝鮮当局は太陽節(4月15日、金日成主席の生誕記念日)110周年と、光明星節(2月16日、金正日総書記の生誕記念日)80周年を迎える今年、特別赦免を断行すると明らかにした。

国営の朝鮮中央通信は、赦免について次のように伝えている。

大赦の実施を決定

【平壌1月20日発朝鮮中央通信】金日成主席の生誕110周年と金正日総書記の生誕80周年に際して、朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議常任委員会は祖国と人民に罪を犯して有罪判決を受けた者に大赦を実施することを決定した。

大赦は、チュチェ111(2022)年1月30日から実施する。

内閣と当該機関は、大赦によって釈放される人々が安定して働き、生活することができるように実務的対策を立てる。

これに関連する最高人民会議常任委員会の政令が発表された。−−−

なお、日本語版の記事では割愛されているが、「国を前にして罪を犯した人々も更正の道に導くありがたい社会主義制度に対する人民の信頼心はさらに厚くなっており、この地の上に一心団結の大花園が誇らしく広がっている」と、朝鮮語版の記事では、政令で赦免を自賛しているくだりにも触れている。

また、「金正恩同志の為民献身の精力的な領導により、わが国には党と国家活動の全般に人民大衆第一主義が徹底して具現されている」ともしている。

金正恩総書記は、自らのイメージ向上に相当気を使っているようで、先日は連続して教化所の受刑者に、普段は出されない白米と豚肉を配給させている。

今回、こうした赦免が実施されることを、昨年末にデイリーNK内部情報筋が伝えている。昨年10月中旬までに各地域の管理所(政治犯収容所)と教化所(刑務所)で対象者の1次選抜が行われ、昨年末にかけて各施設の教化課の指導員が、社会安全省(警察庁)教化局の審査分課に動員され、釈放、減刑対象者の最終選抜を行った。

通常、赦免の発表があれば、社会安全省の幹部にワイロを渡して、家族や知人が対象に含まれるように工作をするのが通例だったが、今回は、張正男(チャン・ジョンナム)前社会安全相が、赦免対象者の選抜過程で不正行為があった場合は厳罰に処すと警告し、すべての過程を極秘に行った。実際、選定作業と政令発表に先立つ赦免の指示は、ほとんどの人が知らなかったという。

今回の赦免の対象者の数は正確には伝わっていないが、政治的に非常に重要な年だけあって、かなりの規模になるものと思われる。教化所の模範囚の場合、より環境のよい別の教化所への移送、または連座制で収監されたと思われる受刑者の家族を15人ずつ釈放せよとの指示が下された。また、刑期は6ヶ月から6年減刑されると思われる。

ただし、労働鍛練隊(軽犯罪者を収容する刑務所)、現在取り調べを受けている者や裁判中の者、そして国家保衛省(秘密警察)傘下の管理所の収容者は、今回の赦免からは除外される。

今回の赦免は、金正恩氏のイメージ向上以外にも、反動思想文化排撃法に基づく取り締まりの強化で、逮捕、有罪判決を受ける者が激増し、各教化所に受刑者が溢れかえっていることも影響していると思われる。