韓国統計庁は今年3月、2021年の婚姻件数が約19万2509件で、前年比で9.8%減少したと明らかにした。1970年に統計を取り始めて以来、最低を記録した。ちなみに最も多かったのは、1996年の43万4911件だ。また、2021年の合計特殊出生率は0.81人で、日本の1.34人よりも少ない。韓国の非婚化と少子化は、日本以上のスピードで進んでいるのだ。

北朝鮮は、婚姻件数は明らかにされていないものの、合計特殊出生率は2019年の数字で1.9人。韓国や日本よりははるかに高いものの、この数字からは、実際に起きている晩婚化、非婚化、少子化が見えてこない。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋は、大都市の清津(チョンジン)では、結婚を遅らせたり避けたりする若者が多いと伝えた。その原因を情報筋は、深刻化する一方の生活難、経済難でマイホームを手に入れる希望が消えつつあるからと説明した。

北朝鮮では本来、住宅は国から無料で提供されることになっているが、実際に得られるのは、カネとコネを兼備した「上級国民」や、運のいい人だけ。多くの場合、結婚した後も両親との同居を迫られる。

女性は、市場での商売で一家を支え、夫や子どものみならず義父母の面倒まで見なければならならくなる。妻の家族と同居し、「マスオさん状態」となる男性は、あまりの薄給に稼ぎを家に入れることもできず、肩身の狭い思いをしなければならない。男女とも、そんな面倒が嫌で、独立して暮らそうとする。

2019年に結婚した30代男性のキムさんは、結婚当初、たった一間の部屋で両親と同居しながらの新婚生活を始めた。しかし「生活が苦しいときこそ、独立して粥をすすってでも楽に暮らしたい」との一心で、家賃300元(約5800円)の部屋を間借りして独立したという。

ただ、コロナパンデミックをはさむ3年前と今では経済状況は大きく変わり、粥すら満足に口にできない人が増えている。それで、結婚そのものをしない風潮が強くなっているとのことだ。特に、負担の大きい女性の間で、そのような傾向が強いという。

北朝鮮の非婚化と晩婚化には、韓流が影響を及ぼしているとの見方もある。情報筋は、「南朝鮮(韓国)映画やドラマを見た若者たちの間で、自分たちだけの空間で生活を営みたいという心理が働いている」と見ている。

だが、それはあくまでもドラマの中の話。韓国の若者とて、親から独立して暮らせるほど経済的余裕のない人が少なくない。2015年の国勢調査によると、未婚者のうち、両親から独立して暮らしているのは、30〜34歳で25.8%、35〜39歳で32.7%に過ぎないのが現実だ。