北朝鮮は先月12日、国内で初となる新型コロナウイルスの感染者の発生を発表した。その後、全国規模で封鎖(ロックダウン)が行われているが、「コロナで死ぬより飢えて死ぬ方が怖い」と言われるほど、餓死者が続出している。

まず、ロックダウン開始の時期と、前年の収穫の蓄えが底をつく春窮期が重なったのがよくなかった。また、コロナ鎖国による経済難で、ロックダウン期間を耐え抜くだけの食料備蓄ができない人が多かったのも犠牲者が続出している原因だ。状況の深刻さに、一部ではロックダウン措置の緩和に踏み切る地域も出ている。

一方、中国との国境に接する咸鏡北道(ハムギョンブクト)会寧(フェリョン)では、これといった対策は打たれていないようだ。現地のデイリーNK内部情報筋によると、非常防疫に伴う封鎖措置で、住民の商業活動が完全にストップさせられた中、自宅での隔離を強いられている人や貧しい人の中から、餓死する人が出ている。

隔離されている人の場合、非常防疫指揮部の指示に基づき、人民班長(町内会長)や地域担当の医師、衛生防疫員が状況の確認に訪れてはいるものの、食糧援助などの実質的な対策は取られていない。

そんな中で、声一つ上げられずに飢えて死にゆく人々が出ているのだが、市当局は対策を立てるどころか、「いくら苦しくても絶対に(朝鮮労働)党に信訴や請願(いずれも内部告発)をしてはならず、生活の問題は無条件で自力更生で行い、各世帯で起きる問題は報告すらするな」と、不満の声を抑えつける有様だ。

餓死した状態で発見された人はどうなったのだろうか。情報筋によると、会寧市非常防疫指揮部の死体処理組は先月29日、病院の裏の谷に臨時火葬場を設け、餓死者の遺体20体を荼毘に付したとのことだ。

なんとか餓死から免れた遺族も、火葬に立ち会うことは許されず、遺体は回収され、骨になって戻ってくるという。これは、コロナの疑いがある死者の遺体処理方法と同じだ。

会寧市保衛部(秘密警察)は、このことについて公言してはならないとかん口令を敷いたものの、あっという間に話が広がってしまった。それを聞いた市民は、「コロナで死んだのか飢えで死んだのかわからない」と不安がっている。

情報筋はまた、餓死を免れるために様々な犯罪に手を染める人が増えていると伝えた。これに対して会寧市安全部(警察署)は、殺人、反国家犯罪、非社会主義、反社会主義行為(風紀の乱れや情報漏えいなど)の取り締まりは行うものの、経済的な問題から起こる犯罪に関しては、当分の間、罪に問わないことを内部で決定したとのことだ。

生活苦に追い詰められた末に罪を犯してしまった人を無慈悲に逮捕すれば、高まる市民の不安を抑えきれないという判断からだろう。