北朝鮮外務省は、米国政府が今月1日に発表したウクライナへの7億ドル規模の武器支援を巡り、「ロシアと米国の軍事衝突の危険性を増大させる」とする15日付の論評をウェブサイトに掲載した。

論評は「米国の今回の対ウクライナ武器支援決定が発表されるやいなや、大統領報道官をはじめとするロシアの要人は、米国の新たな対ウクライナ武器支援計画がキエフ政権の好戦的な勢いをさらに強め、意識的に火に油を注ぐ行為だと強く糾弾した」と指摘。

続けてロシアの高官が「ゼレンスキー当局が米国から提供された武器でロシア領土を攻撃する場合、国防省と軍総参謀部を含むキエフ(キーウ)のすべての決定採択中心地を消滅させると警告した」と述べている。

ロシアがウクライナに対する侵略を開始して以来、一貫してロシアを支持してきた北朝鮮だが、この論評は、プーチン政権による「核兵器使用の脅し」に力を持たせようとするものと言えるだろう。

領土が攻撃されたら核で報復する――というのは、北朝鮮が最近、韓国に対して言っていることにほかならない。

金正恩総書記の妹である金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党副部長は4月4日、「南朝鮮(韓国)は主敵ではない」としながらも、韓国側が軍事的対決を選択した場合には核兵器の使用をためらわないとする談話を出している。

韓国では徐旭(ソ・ウク)国防相(当時)が同月1日、陸軍ミサイル戦略司令部の改編式の席上、「(北朝鮮の)ミサイル発射兆候が明確である場合は発射点と指揮・支援施設を打撃できる」と発言。金与正氏はこれを「先制攻撃」に言及したものとみなし、2日付の談話で「狂っている」などとして激しく反発した。

そして、続けて出した4日付の談話では、「南朝鮮がいかなる理由であれ、かりに誤判によってであれ、徐旭が言及した『先制打撃』のような軍事行動に出るなら、状況は変わってしまう」としながら、「南朝鮮がわれわれと軍事的対決を選択する状況が到来するなら、やむを得ず、われわれの核戦闘武力は自己の任務を遂行しなければならなくなる」として、有事に核兵器の使用をためらわない姿勢を示した。

北朝鮮は、通常兵器の劣化が激しく、軍事力は核に依存せざるを得ないのが現状だ。それなのに、はるかに強力な核戦力を持つロシアは、欧米の支援を受けたウクライナとの戦いで敗色が濃くなっている。

その上、ロシアの「核の脅し」が効かない状況は、国力のすべてを核戦力に賭けているとも言っていい金正恩政権にとって、なんとも歯がゆい状況であるはずだ。

金正恩氏が、ロシアの核使用を願っているとまでは言わないが、核兵器による威嚇がウクライナの戦況を一変させ、ロシア有利に転じることを期待しているのはまず間違いないだろう。