咸興(ハムン)の写真館の責任者は6月末、ヤシの木が生えた異国的なビーチを背景に2〜30代の若者の結婚写真を製作して、問題となり、罰金を払った。

これは、デイリーNKの内部情報筋が伝えた、今月2日付の幹部学習班の通報資料(思想教育用資料)に掲載された、反社会主義・非社会主義現象の実例だ。

韓流や携帯電話による海外との通話を主に摘発している反社会主義・非社会主義連合指揮部(82連合指揮部)だが、摘発の対象としているものの範囲は非常に広い。彼らが新たなに目をつけたのが、都会に存在する写真館だ。

写真館は今までも、当局に目をつけられていた。所有には当局の許可が必要なコピー機などを有し、地下出版物を印刷したり、韓流コンテンツをコピーしたりする拠点となっていたからだ。だが、最近の取り締まり対象は上述の通り、それだけにとどまらない。

複数の内部情報筋によると、咸興のみならず、平壌、沙里院(サリウォン)、元山(ウォンサン)などで写真館を経営していた責任者が、異色的(外国的)な映像、写真、絵などを制作した容疑で、非社会主義現象を取り締まる反動思想文化排撃法違反で摘発され、罰金刑に処せられている。処分があまりにも重いと抗議したことで逮捕され、営業停止や廃業に追い込まれる店も出ている。そうなれば、コピー機など一切の機器が没収される。

いずれも、上述の通報資料に掲載されている内容だが、抗議するほどの罰金の額がどれほどのものだったかについては触れられていない。ちなみに反動思想文化排撃法の定める罰金額は、100万北朝鮮ウォン(約2万円)から150万北朝鮮ウォン(3万円)だが、その10倍を要求されたと、情報筋は伝えている。

地元とのしがらみに縛られず、風紀や思想を乱す行為を効果的に摘発するために立ち上げられた82連合指揮部だが、設立から時間が経つにつれ、ワイロを受け取って事件をもみ消すなど、既存の組織と同様の行為を行っていると伝えられている。恣意的な取り締まり対象と罰金額の設定も、一種のワイロ要求と見ることができよう。

公職者の汚職の度合いを示す腐敗認識指数で、10年連続でほぼ最下位という不名誉な記録を持つ北朝鮮。不正を取り締まる組織も、しばらくすれば、自らが腐敗していくのだ。

江原道(カンウォンド)の内部情報筋は、「いちゃもんをつけて罰金を取られるが、地域、取締官ごとに額がまちまちで、住民は、これのどこが人民のための法なのか、取締官が率先して法を守るべきだ、などと口々に言っている」と現地の反応を伝えている。

平壌の内部情報筋は、「法を犯したなら、法の通りに処罰してこそ、国の法律を尊重する心がうまれるが、今の取締官は吸血鬼のように人民からすべてを奪い取り、強い不満を引き起こしている」とし、同様の事例があちこちで起きていることを伝えている。