北朝鮮のコロナ対策の司令塔である国家非常防疫司令部。今月12日の夜10時、黄海南道(ファンヘナムド)、黄海北道(ファンヘブクト)、開城(ケソン)市のコロナ対策責任者を招集して緊急のオンライン会議を開いた。対策の不徹底などを厳しく追及するものだったという。詳細を、黄海南道(ファンヘナムド)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

会議ではまず、新型コロナウイルスの感染拡大に加え、腸チフスなどの「急性腸内性伝染病」、さらには結核まで広がっていることについて、「国の保健行政指針を規定通りに行わなかったせいで、悪性伝染病(コロナ)に加えて各種疾病がごちゃごちゃになって住民を脅かしている」と、3つの地域の非常防疫指揮部の無能さを指摘した。

国家非常防疫司令部は、医療現場の問題についても指摘した。診察や薬を求めて病院や薬局にやってきた人を追い返す医師や薬剤師、防疫イルクン(幹部)に対しては責任を追及し、撤職(更迭)するか、消毒作業の現場に派遣せよとの指示を下した。

コロナ前から「医療崩壊」が起きている北朝鮮。すべての医療は無料で受けられることになっているが、病院で診察、治療を受けるにはワイロが必要となり、薬は市場で買わなければならないのが現実だ。現場レベルでは、コロナの感染者にも同様の対応を行っているようだ。

国家非常防疫司令部は、彼らの対応を「非人間的で無責任な行為で看過できない」と批判し、適切な治療を行わなかったことで、労働力の不足と生産性の低下を招いたとして、法的処罰を受けるべきだと怒りをあらわにした。

この場では、感染者数の虚偽報告についても指摘された。国家非常防疫司令部は、5月15日以降毎日、有熱者(発熱患者)の数を発表しているが、当初は30万人を超えていたのが、22日発表分では140人と激減している。

感染者が減らなければ処罰されると恐れた各地方の担当者が、意図的に数字を減らして報告しているとの指摘がなされていたが、国家非常防疫司令部はそれを見抜いていたようで、各地域の防疫イルクンを「(朝鮮労働)党に嘘の報告をする肝の座った人間」と皮肉った上で、今後は許さない、正確に報告せよと警告した。

国家非常防疫司令部は、コロナの危険性について言及して、油断できるものではないとし、ワクチン接種を複数回実施している外国でもコロナが収束せず、土着化しているとして、他の国よりもさらに状況を関心を持って見守り、防疫に力を入れるべきだと強調した。