北朝鮮の社会安全省(警察庁)は2020年12月、国境を行き来して新型コロナウイルスを国内に流入させるとして、鳩と野良猫をすべて抹殺せよとの指示を下した。その命令は、家庭でペットとして買われている猫に対しても適用された。

科学的根拠を欠いたこのような命令が、今になって改めて強調されている。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋は、国家非常防疫司令部が住民に対し、衛生管理を徹底してウイルスや細菌の活動をブロックし、人民がより衛生的な環境で安全に暮らせるようにすることに関する指針を下したと伝えた。

この指針で最も重点が置かれているのは、鳩を含めた鳥類の駆除だ。担当者は、家々を訪問して、鳩小屋を撤去・解体させよと指示している。また、軒下の鳥の巣もすべて撤去して、徹底的な消毒を実施せよとも命じている。

2020年に下された命令が徹底されておらず、鳩を飼育し続ける人が少なくなかったようだ。この命令は、咸鏡北道非常防疫指揮部を通じて、各市・郡に下され、現在、鳩小屋と鳥の巣の撤去作業が行われているとのことだ。

同時に下されたのは、ゴミ捨て場の管理の徹底に関する指示だ。今までは1ヶ月または数ヶ月に1回しかゴミの処理が行われていなかったが、これを1週間に1〜2回行うように命じられた。

北朝鮮はリサイクルが徹底されているのとともに、食糧不足もあってゴミそのものの量がかなり少ない。ゴミ捨て場の数も200〜400世帯に1カ所と少なく、ゴミ運搬に使うトラックのガソリン代は、住民の負担となる。

情報筋によると、1世帯が負担するゴミ回収費用は1回あたり1000北朝鮮ウォン(約20円)以上。住民からは、鳥を駆除せよという馬鹿げた命令とは異なり、ゴミ捨て場管理の徹底については、賛否が入り混じっているようだ。

「キュウリの冷製スープを飲みたくても、キュウリ1本すら買うのが大変なのに、1000ウォンならば、2日分のキュウリが買える」「衛生的な環境もいいが、暮らしが大変なのにどうやって1000ウォンも払うのか」「朝鮮労働党が方針を下せば、その責任は人民に押し付けられる」という声が上がる一方で、「生活が苦しいのに税金ばかり増えて、いくらまともな方針でも罵ってしまう」と言った声も聞かれるという。

ゴミ捨て場の管理徹底はともかく、鳥の駆除は非常に馬鹿げた方針だ。上下水道などインフラの整備が遅れていることが、感染症が広がる根本的な原因だろう。