北朝鮮国内、中でも中国との国境に接する地域で集中的に行われている非社会主義・反半社会主義現象に対する取り締まり。社会主義にそぐわない、または反するような事象を取り締まるもので、特に韓流コンテンツの視聴、販売や中国キャリアの携帯電話の使用で摘発される人が続出している。

ただ、実際の取り締まりの範囲は非常に広い。今回紹介するのは「占い」で取り締まられた事例だが、そこで用いられた「禁断の書」がさらに問題を大きくした。両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

恵山(ヘサン)市の保衛部は今月14日、50代女性のチェさんを、金品を受け取り、占いをしていた容疑で逮捕した。

北朝鮮の刑法には、次のような条項がある。

北朝鮮刑法第256条(迷信行為罪) 金または品物を受け取って迷信行為を行った者は1年以下の労働鍛錬刑に処す。複数名に迷信行為を教えたり、迷信行為で重大な結果を生んだりした場合は、3年以下の労働教化刑に処す。罪状の重い場合には3年以上7年以下の労働教化刑に処す。

この「迷信行為」は、主に宗教を指し、キリスト教に対する厳しい弾圧の法的根拠とされている一方で、占いにも適用される。

情報が少なく、未来が不透明な北朝鮮では、庶民から高位幹部に至るまで占いにハマる人が多く、たびたび取り締まりキャンペーンが行われ、逮捕者が公開処刑されたこともあった。

さらに、上述の非社会主義・反社会主義摘発が行われるようになってから取り締まりが強化され、摘発されれば刑務所行きとなるが、それでも占いが消えることはなかった。

チェさんは2018年から、1人あたり200中国元(約4000円)の代金を受け取り、占いを見るようになり、家宅捜索では自宅から3万4000元(約67万8000円)もの現金が発見された。

これだけなら、儲けの全額没収と労働鍛錬刑(短期の懲役刑)で済まされていたかもしれない。だが情報筋は、罪はもっと重くなるだろうと見ている。というのもチェさんは、韓国の占いの本を見て、運勢を占っていたからだ。

チェさんは2018年2月ごろ、国境警備隊の隊員に頼み、韓国で出版された占いの本のデータが多数入ったUSBメモリを中国経由で取り寄せた。その内容を写し書きして本に仕立て上げ、それを見て占いをしていたとのことだ。

韓国の本を読んでいたことで、「韓流取締法」とも呼ばれる反動思想文化排撃法違反にも当たることから、軽い刑では済まされず、最悪の場合、見せしめとして処刑されることも考えられる。

「南朝鮮(韓国)に対する敵愾心を植え付けるための講演会や教養事業(思想教育)が頻繁に行われている中、一般的な迷信行為ではなく、南朝鮮から取り寄せた占いを流布させて金儲けをしていたことから、容赦されないだろう」(情報筋)

情報筋は、チェさんの顧客について触れていないが、料金が高額だったことからそれなりの地位にいた人も含まれていると考えるのが自然だろう。そのコネを使うことくらいしか、彼女の生き残る道はないのかもしれない。