北朝鮮の国営朝鮮中央テレビは、8月14日から16日にかけて前線が南下し、全国的に大雨が予想され、多いところでは降水量が400ミリに達すると伝えていた。平安道(ピョンアンド)を中心とした地域には大雨の重級警報が、その他の西海岸、東海岸、北部内陸には注意警報が出されたと報じた。

この大雨により、中国と国境を接する両江道(リャンガンド)の恵山(ヘサン)では、甚大な被害が発生した。現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

市内の恵花洞(ヘファドン)では16日午前2時ごろ、がけ崩れが起きて住宅が倒壊、その家に住んでいた30代女性と5歳の娘が死亡した。市内周辺の山は頂上近くまで段々畑となっており、木がほとんどなく、雨が降るたびにがけ崩れが起きると情報筋は述べた。

これ以外にも、渭淵洞(ウィヨンドン)では3棟、江口洞(カングドン)では5棟の住宅が倒壊した。同じ地域でも、壁がセメントでできた家には被害がなかったのだが、倒壊した家は、いずれも土レンガでできた家だった。当局推奨の建材ではあるものの、安全性に問題があると指摘されていたが、それが証明された形だ。

情報筋の話では、恵山では大雨が降るたびに何かしらの被害が発生し、今回も国境を流れる鴨緑江から溢れた水が、下水道を詰まらせ、周辺の住宅が浸水被害を受けた。ただ、人命が失われる事態は極めてまれだとし、災害の原因は、手抜き工事で建てられた土レンガの家にあると指摘した。

「当局は労働新聞やテレビを通じて毎日のように住宅を建設すると宣伝しているが、依然として土レンガの家に住む人が多い。今回の大雨で家が壊れた住民は、自力で修理しなければならず、ため息をつくばかりだ」(情報筋)。

両江道人民委員会(道庁)と恵山市人民委員会(市役所)は、総動員した人員を各人民班(町内会)に派遣し、住民の避難誘導に当たらせたとのことだが、被害が繰り返される根本的な原因は解決されていない。

上述の通り、山の木は切られ、段々畑が造成されたことで保水力を失い、がけ崩れが頻発している。当局は緑化事業を進めているものの、市民の食糧供給を担っている畑を奪う形で行われるため、様々な抵抗に遭い、順調に進んでいるとは言い難い状況だ。

また、当局は国境沿いに、脱北や密輸を防ぐためのコンクリート壁(コンクリートの柱に高圧電線を張ったもの)の建設には熱心である一方で、堤防の建設には関心がないようで、わずかな増水で浸水被害を招いてしまう。