北朝鮮の朝鮮労働党機関紙・労働新聞は10日、「台風12号に警戒を高めよう」という記事を掲載した。韓国の気象庁は12日の時点で、台風12号(ムイファ)が、16日に朝鮮半島の対岸の中国・山東半島に上陸し、渤海湾に抜けるとの予報を出しているが、北朝鮮の気象水文局も同様の見方をし、それが記事に反映されているようだ。

6日に朝鮮半島に上陸した台風11号(ヒンナムノ)の後片付けはもちろん、被害の全容も把握できていない状態で再び台風が来襲すれば、進路の南東側に当たる北朝鮮は、さらなるダメージが予想される。

この台風11号の影響で、平安北道(ピョンアンブクト)の定州(チョンジュ)では大雨が降り、氾濫した川に流され、子ども2人が行方不明となっている。

現地のデイリーNK内部情報筋によると、3日から5日の間に大雨と強風が襲い、市内の民家と農家に甚大な被害が発生した。市内では先月にも、大雨で水田が水没する被害が発生しているが、それから1カ月足らずで、再び浸水被害が発生した。

10世帯は前回の大雨で被害を受け、補修工事を行っていたが、今回の大雨と強風で完全に破壊されてしまった。

5日には、市内を流れる川が氾濫し、8歳と6歳の男児2人が流され、行方不明になった。定州市安全部(警察署)は通報に基づいて、事故の発生現場を推測し、安全員と糾察隊を動員して辺り一帯の捜索に乗り出した。しかし9日の時点で、2人の安否はわかっていない。2人の両親は、子どもを探して辺りをさまよっているとのことだ。

相次ぐ被害に市民からは「大雨の被害で今年の農業の作況は良いわけがない」「天は哀れみも持たない」などと、諦めの声が上がっている。

もともと自然災害が比較的少なかった北朝鮮だが、近年になって、気候変動の影響と見られる大雨、干ばつの被害が続出している。上述の労働新聞の記事は「最優先されるべきは、人的被害を徹底的に防ぐことだ」とし、次いで農地への被害防止を挙げ、水路の堰や揚水機を動かすなど、具体的な対処方法についても指摘している。ただ、揚水機を稼働させようにも、ガソリンがコロナ鎖国で入ってこないため、充分に使えない。

また、稲を複数束ねて結んでおくなどの対処方法も紹介しているが、農村の労働力不足が深刻化している今、そこまでの対処は難しいだろう。

かくして、再び甚大な被害を招いてしまうのだ。