現在、中国に派遣されている北朝鮮労働者は、5万人に達すると見られている。北朝鮮国民の新規雇用を禁じた国連安全保障理事会の制裁決議に抵触しないよう、労働者ではなく、研修生や一時滞在者の身分で労働に従事しているが、そのため、労働者を保護するための法律が適用されず、ブラック労働に追いやられている。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

中国の情報筋によると、遼寧省丹東郊外の東港の水産加工工場で最近、北朝鮮から来た女性労働者と、北朝鮮側の管理責任者との間で、口論が絶えないという。

コロナ前までは責任者に従い、おとなしく働いていた彼女たちだが、現在は1日12時間もの長時間労働を強いられ、月給もまともにもえらなくなったため、責任者に不満をぶつけるようになった。

また別の情報筋によると、今月の17日と18日には、アパレル工場で働いていた女性労働者30人を水産加工工場に派遣して、カニの選別の仕事をさせたが、あまりの労働環境の悪さに「自分たちは働く機械か」などと、責任者に抗議する事態となった。

この地域の水産加工工場では、それぞれ50人から200人の北朝鮮女性が働いているが、北朝鮮の幹部と中国企業の幹部との契約に基づき、1人あたり2300ドル(約33万4000円)から2500ドル(約36万3000円)の月給が中国人民元で支払われる。

月給は北朝鮮側の責任者の口座に一括で入金され、忠誠の資金(北朝鮮政府への上納金)、生活費などをピンはねして、800ドル(約11万6000円)から1000ドル(約14万5000円)が労働者に支払われていた。

一方、別のコロナ防護服を作っている工場で働く北朝鮮労働者には、毎月2300元(約4万7000円)から3300元(約6万8000円)の月給が支払われていることになっているが、実際には、2月16日の光明星節(金正恩総書記の生誕記念日)、4月15日の太陽節(金日成主席の生誕記念日)に500元(約1万円)ずつしか支給されない。

このようにコロナ禍で仕事が減り、月給も減ってしまったのに、北朝鮮当局が逆にピンはねの額を上げたことで給料が激減したのだ。

だが、この工場は仕事が多い分、まだマシな方だ。中国の厳しすぎるコロナ対策を嫌い、中国から撤退する外資系企業が増えたことで、仕事も給料も減らされる労働者も出ている。

デイリーNK情報筋によると、遼寧省と吉林省の電子部品製造工場で働いていた北朝鮮労働者の賃金が、先月から半分以下になってしまったという。元々は2500元(約5万1000円)ほどだったのが、1000元(約2万円)にまで減らされたのだ。労働時間も1日10時間だったのが、7月中旬からは5時間に減らされた。

だが、ピンはね額は減らされないため、中には月給がゼロという労働者もいたという。

仕事が減ったのは、ゼロコロナを掲げる中国の厳しい防疫対策で移動制限やロックダウンが頻発しているため、操業に支障の出た外資系企業がインドやベトナムに生産現場を移しつつあるからだ。

一方、収入が激減した北朝鮮労働者は、他の職場でバイトをしようにも、中国当局の制限が厳しくて移動がままならず、だからといって、帰国が許されるわけでもないために、八方塞がりの状態に追い込まれている。