韓流コンテンツの視聴、販売のみならず、韓国式のファッション、言葉遣いやアクセントにまで取り締まりの対象を広げるなど、韓国文化の影響排除に血眼になっている北朝鮮当局。

度々、若者がその見せしめで処罰されているが、古臭く政治集のプンプンする当局推奨の北朝鮮製コンテンツより、面白くてかっこよく、オシャレでリッチな韓国製のコンテンツの人気を抑え込むことは到底できないだろう。

さて、今回北朝鮮当局がやり玉にあげたのは、韓国風の漫才と歌唱法だ。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

平安北道(ピョンアンブクト)の司法関連の情報筋によると、「事件」が起きたのは、今月初めのこと。松新(ソンシン)・松花(ソンファ)地区や和盛(ファソン)地区などで合計5万世帯の住宅建設が進められているが、社会安全省(警察庁)の武装部隊の兵士が、その建設に動員されていた。

彼らは娯楽会を開いていたのだが、一部の兵士が漫才と歌を披露した。漫才のネタは不明ながら「不純な内容」で、歌は「歪曲された歌い方」、つまり韓国風の歌い方で歌ったという。

司法当局は、公開の場で韓国風漫才を披露し、韓国風の歌い方で歌を歌った今回の「事件」を綱紀の乱れとみなし、調査に乗り出した。報告を受けた中央は、思想的な深刻な乱れと判断し、徹底した調査と関連者の処罰を指示した。

民間人ならまだしも、独裁体制を第一線で支える機関である社会安全省にまで、韓流の影響が広がっていることに、当局は少なからず衝撃を受けているようだ。

同様の事態は他の部隊でも起きているとの情報を入手した当局は、社会安全省に緊急対策を行うことを指示し、非社会主義現象(社会主義にそぐわない風紀の乱れ)を根絶やしにすることを指示した。

これを受けて社会安全省は、今月10日から1ヶ月間、幹部と兵士を対象に、大思想戦を繰り広げることを指示した。韓国風の漫才と歌い方は、利敵行為だというのだ。

いくら社会安全省所属とはいえ、元々は若者。彼らの間で韓流が流行するレベルを超え、当たり前になっている現状が、改めてあらわになった形だ。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の司法関係者は、この事件のことが現地にも伝わっており、各地の安全部(警察署)では、内部に広がっている韓国風歌い方の出どころについて調査を行っていると伝えた。

また、すべての社会安全省の兵士と安全員(警察官)に対して政治思想事業(思想教育)を協力に行い、新入隊員や幹部が、シャバから持ち込む非社会主義現象の通路を徹底して遮断するように指示した。さらに、綱紀粛正のために、不健全な民間人との接触を禁じる指示も下した。

ただ、民間人との接触せずしては、治安維持活動も、不穏な人物の割り出しもできない。また、様々な理由を並び立てて民間人からワイロをせびり取るのが、安全員の「お仕事」だ。現実を無視した指示の類は、ほとぼりが冷めれば有耶無耶になるのが北朝鮮の常。

締め付けを強化したところで、北朝鮮にしっかり根付いた有形無形の韓流の影響は、もはや排除できまい。