北朝鮮北部にある両江道(リャンガンド)。標高が高く、夏でも寒いことからほとんどの地域で稲作ができない。その代わり、ジャガイモの栽培が盛んだ。国営の朝鮮中央通信は、その収穫が始まったことを伝えている。

両江道でジャガイモの収穫に総力を集中

【平壌9月12日発朝鮮中央通信】両江道の各農場で、ジャガイモの収穫に力量を集中している。
道農業経営委員会では、ジャガイモの収穫を適期に終えるための科学的かつ現実的な作戦を立てて、市、郡で労働力と機械手段を合理的に利用し、収穫する次第に運搬を伴わせるようにしている。

各農場では、ジャガイモ収穫機に対する修理・整備を責任を持って行い、フル稼働させて日程計画を超過遂行しながら一つのジャガイモも無駄なく全部取り入れている。

霜害を被りかねないジャガイモ畑から先に収穫して収量が減少しないようにし、作業班別、分組別の社会主義的競争熱風を高調させて日程計画を狂いなく遂行している。

輸送の手配を抜かりなく行って、収穫したジャガイモを適時に三池淵ジャガイモ粉生産工場に送っている。−−−

記事では、機械を使って収穫しているとしているが、実際に収穫に当たるのは、道内の高校生や大学生だ。

現地のデイリーNK内部情報筋によると、恵山(ヘサン)市内の高級中学校(高校)、専門学校の生徒、大学生に対して今月初め、ジャガイモ掘りの指示が下された。

各学校は、両江道教育部の指示に基づき、11日までに割り振られた農場に生徒、学生を引率し、12日から来月10日まで、ジャガイモの収穫作業に当たらせる。

ここで問題になるのは、派遣先での食べ物だ。

恵山市の恵明(ヘミョン)の高級中学校のあるクラスの場合、生徒1人あたりコメ15キロ、食用油1瓶、化学調味料100グラム、味噌500グラム、唐辛子の粉200グラム、塩300グラムを持ち寄るように指示された。別のクラスでは1人あたりコメ12キロに、おかず購入費として15万北朝鮮ウォン(約2550円)の持参が指示された。

恵山の市場では、6日の時点で、コメ1キロが6200北朝鮮ウォン(約105円)で取引されていることを考えると、かなりの負担だ。

元々、動員を受け入れる農村の側が、都会からやって来た人々に食事を提供することになっていたはずなのだが、昨今の食糧不足のせいか、参加者に負担を押し付けているのだ。

タダ働きさせられた上で、重い負担を強いられる生徒、学生やその親の不満は非常に大きい。さらに不満を煽っているのは、教師が経済的余裕のある生徒や学生の親から、動員免除と引き換えに、1人あたり700元(約1万4400円)から1000元(約2万600円)のワイロを受け取っている点だ。

「学校の教師は、ジャガイモ掘りなどの農村動員を金儲けの手段に活用している」(情報筋)

今年は深刻な経済難で、多額のワイロを払える者が少ないため、一部の教師は強制的にワイロを巻き上げて、動員を免除するという「押し売り」を行っているという。

そもそも農村動員の目的は、農作業を短期間で終わらせることにある。今の季節は、秋の長雨、台風、霜など、様々な自然災害が多いことから、それから作物を守る目的もある。

当局は、農村の人口が不足し、農作業に支障をきたしていることから、一時的な動員にとどまらず、「嘆願事業」や「集団配置」と称して、若者を農村に大量に送り込み、定住させている。しかしどちらの試みも、現場の担当者が私腹を肥やすため、或いは生活のためにワイロで骨抜きにしており、本来の効果が発揮できていない。

「毎年行われる農村動員は、本当に農民を助けるためのものか、教師の私腹を肥やすためのものか、疑問を抱くほどだ」(情報筋)

なお、今年のジャガイモの作況だが、日照りと大雨によりかなりの不作になったと伝えられている。