北朝鮮では今月8日、最高人民会議第14期第7回会議で、核戦力の使用原則などを法制化した「朝鮮民主主義人民共和国核戦力政策について」が採択された。

その直後、核兵器開発と関連した機関に所属する幹部らの大量粛清が明らかになったと、デイリーNKの現地情報筋が伝えている。恐怖政治により、核戦力法制化の「正しさ」を幹部らに徹底して知らしめるためだという。

北朝鮮内部の高位情報筋が韓国デイリーNKに伝えたところによると、北朝鮮当局は15日、党・政・軍の傘下で核兵器関連業務を担当する機関幹部らを対象に政治学習資料を下達した。

軍需工業部、第2経済委員会、国防科学院、国家核動力委員会、戦略軍指揮部、総参謀部、国防省、総政治局などの主要幹部が大挙参加した講習会で公開されたこの政治学習資料には、昨年12月から今年8月までの間に、「不純な思想」を持った特殊機関の幹部と職員3000人余りが「法的処理」されたという内容が明示されていたという。その中には、党中央委員会の副部長クラスも含まれているという。

情報筋は「党的処理や行政的処理ではなく、『法的処理』がなされたというのは管理所(政治犯収容所)に送られたという意味だ」とし、「裁判にかけられたり、教化所(刑務所)に送られたりした場合は『法的処罰』という言葉が使われる。管理所に送られたため『処理』となっているのだ」と説明する。

さらに、この資料には粛清された3000人に対して「第二、第三の張成沢(チャン・ソンテク)一味」という表現が使われていたという。

張成沢氏は金正恩総書記の叔父であり、朝鮮労働党行政部長の要職を歴任して権勢を誇っていたが、2013年12月に国家転覆陰謀罪の判決を受け処刑された。当時、同氏の家族や愛人のみならず、同氏の系列とみなされた幹部やその家族まで、数千人から1万人もの人々が粛清されたと言われている。

そのため一部の幹部の間では、当局は今回、金正恩氏の執権10年を総括し、新たな10年を迎える意味で「核戦力の法制化」を実現しつつ、反動行為に走る可能性のある不純分子を処断したのだ、との解釈が語られているという。

実際、北朝鮮当局は今回の大粛清に向け、昨年12月から対象者の動向を調査してきたとのことだ。

別の情報筋によると、金正恩氏が軍最高司令官に推戴されてから10周年の昨年12月30日、戦略軍司令部、国防省、総参謀部など軍の主要幹部を集めた特別講演会で「核戦力の法制化が必要だ」と言及があったという。

さらに、党と内閣傘下の各機関でもそれぞれ同様の講演会が行われたとされる。

その後、軍総政治局と国家保衛省(秘密警察)は幹部たちの間でどのような世論が形成されているかを調査し、私的な席においても核戦力法制化を批判した事実が確認されれば、その幹部をブラックリストに上げて徹底的に監視してきたという。

今回の講習会では「元帥様(金正恩氏)を最も近くで接し、党の政策に最も鋭敏でなければならない責任幹部が核戦力の法制化について『危険要素がある』『時期が良くない』などと言ってケチをつけた。彼らには少なくない時間を改心の機会として与えたが、腐敗堕落して本質が継続的に現れ、法的処理をするしかなかった」と説明されたという。

それと共に「再びこのような不協和音が生じないよう、核戦力法制化の真髄を正確に知り、各単位がそれぞれの役割をきちんと実行しなければならない」と強調したとのことだ。