北朝鮮は2020年1月に、新型コロナウイルスの国内流入を防ぐとの理由で、国境を完全に封鎖した。それ以降、外国人の入国はもちろんのこと、自国民の帰国すら許していなかった。

5万人いるとと言われている、中国に派遣された北朝鮮労働者は、中国経済がコロナ禍で沈滞する中でも中国で暮らし、働き続けていたが、ようやく帰国への道が開けそうだ。

中国のデイリーNK情報筋によると、中国駐在の北朝鮮領事館から、労働者の帰国指示が下され、地域、派遣先の企業ごとに帰国する人員の数や順番を決める作業が行われている。

労働者も、帰国時に持ち帰る品物を調達するため、外出が比較的自由にできる管理者に、品物の購入を頼んでいるとのことだ。化粧品、シャンプー、歯磨き粉といった生活用品や冬用のコート、ズボン、Tシャツなどの衣類がメインだ。自家消費用のものか、販売用のものか、量がどれくらいになるかについて、情報筋は言及していない。

帰国ルートは、中国・遼寧省の丹東と北朝鮮の新義州(シニジュ)を結ぶ鴨緑江大橋を使うものと思われる。バスでは輸送力に限界があるため、列車を利用する可能性が高い。そうなればコロナ鎖国以降、初めての旅客列車の運行となる。

帰国準備は進められているものの、具体的な日時は示されていない。情報筋は今年末か年明けになるものと見ている。既に一部の中国企業と、新たな労働者の派遣についての契約がかわされていることから、年明けには人員の入れ替えが行われるようだ。

なお、入れ替えに当たって、従来は2200元(約4万4600円)にから2500元(約5万600円)だったが月給が、3300元(約6万900円)から3700元に(約7万5000円)大幅に引き上げられている。中国企業にとっては重い負担だが、それでも中国人労働者の人件費より安い。

固く閉じられていた北朝鮮の国境がようやく開こうとしているが、喜んでいる人ばかりではないだろう。脱北して中国で逮捕されたものの、北朝鮮側の受け入れ拒否で強制送還を免れた人々が大勢いるが、彼らにとって帰国は地獄そのものだ。