北朝鮮の国境沿いの地域では、9月末から一般住民に対する新型コロナウイルスのワクチン接種が行われていたが、先月末から2回目の接種が始まった。

しかし、1回も摂取できていない人もいたり、接種を巡ってワイロが飛び交うなど、様々な混乱が起きているようだ。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

両江道(リャンガンド)の情報筋は、先月24日から恵山(ヘサン)でワクチンの2回目の接種が始まったと伝えた。恵山市民は9月23日から1回目の接種を受けており、それから1カ月の間隔を置いて2回目の接種が行われている。

現地では、急激に気温が下がり大雪が降るなど本格的な冬が到来したが、それに伴いコロナを疑わせる症状を見せる患者が急増している。そのため、国家非常防疫司令部が恵山市を指定して、2回目の接種を急いでいるとのことだ。

接種のやり方だが、前回同様に人民班(町内会)単位で、地域の診療所や両江道病院、恵山市病院に出向いて行う。使われているのは、9月初めに貨物列車で取り寄せた数十万人分の中国製のワクチンで、この地域の住民や国境警備隊の隊員など、1回目の接種を受けた人に限って2回目の接種を受けている。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋は、道内でも国境に接している茂山(ムサン)、慶源(キョンウォン)、穏城(オンソン)、会寧(フェリョン)などで、先月中旬から住民を対象としたワクチン接種が行われていると伝えた。

しかし供給量が不足しており、医師が必要と認めた基礎疾患のある人、兵士、機関の幹部に限って接種しているため、不満が渦巻いているという。

穏城では急性肺炎が広がり、亡くなる人も出ているが、ほとんどが1回も接種を受けていない老人で、コロナが広がっているのではないかという噂が流れている。不安にかられた人々は、防疫指揮部の係官や医師にワイロを掴ませて接種を受けるなど、混乱が生じているようだ。

年老いた両親がいる情報筋も、ワイロを払わなければ摂取してもらえないと訴え、「ここ(北朝鮮)ではコロナワクチン接種も、身分と階級に応じて差別的に行われている」と嘆いた。

国境沿いの地域に住む住民は、接種の機会があるだけまだマシと言えよう。首都・平壌を除く内陸では、一般住民はもちろんのこと、兵士ですらワクチン接種の対象となっておらず、民間療法で対処する以外に方法がない。